第9回自民にあって野党にないのは「集合知」 「北風」より「太陽」めざせ

有料会員記事2021衆院選

聞き手・稲垣直人
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 自公政権を続けるのか否かも問われる衆院選が、間近に迫っています。しかし野党は依然、報道各社の調査で支持率は伸び悩んでいます。それはなぜなのか? そもそもなぜ野党は政権を取れないできたのか? 立憲民主党の衆院議員を追いかけた映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」を監督し、ドキュメンタリーとしては異例のヒットを飛ばした大島新(あらた)監督に聞きました。

     ◇

 ――民主党政権が終わってから9年経ちますが、野党の政権再奪取がなかなか視野に入ってきません。なぜだと思いますか。

 「翻って思うのは、今回の自民党総裁選のことです。菅内閣の支持率が急降下すると、党内で危機感が高まり、菅義偉さんが立候補できないような空気が作られた。菅さんに代わり、コアな保守派から穏健派まで、政党が違ってもおかしくないと思うほどの4氏が立候補した。そして、世論の人気は高いが、摩擦や議論を呼びそうな年金改革案、脱原発などを掲げる河野太郎さんではなく、岸田文雄さんを新総裁に選んだ――。この一連の動きを見ると、自民党にはある種の『集合知』があるような気がします。党員1人ひとりが計算したわけではないでしょうが、権力を維持し続けることへの執着心、自己防衛本能が自然と党内で働く。こういう集合知は、いまの野党にはないと感じます」

「おおらかさに欠ける」と見える政治姿勢

 ――実際、岸田内閣の支持率は、菅内閣の30%台ギリギリから4割台、5割台に盛り返しました。いまの野党には、まねできない芸当でしょうか。

 「国会での首相指名選挙でも、公明党は岸田さんに投票しているのに、国民民主党は立憲民主党の枝野幸男代表に投票しない。衆院選では、小選挙区制である以上、各選挙区の野党候補を1人に一本化しなければ与党候補には勝てないのに、立候補予定者をなかなか一本化できない。野党はいったい何をやっているのか?と思わざるを得ません。ただ野党には、多くの優秀な議員がいます。政権与党で働くチャンスがなければ、人的資源の無駄遣いではないかと思うほどです」

総選挙が迫るなか、いま私たちが考えるべきことは何か。有権者として何を問われているのか。寄稿やインタビューを通して考える連載です。記事後半では、「社会を変えなくては」という野党の基本的な立場が有権者や世間に与えるイメージについて論じます。

 ――どうして、自民党がやってのける「割り切り」が野党にはできないのでしょう。

 「自民党のような保守政党は…

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