虹色のクジラやアリスを描いた高架下、カラフル壁画で町を明るく

甲斐江里子
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 アートで防犯を。大阪・京橋で壁画を使って町を明るくし、犯罪を減らそうというプロジェクトが進んでいる。11日、プロのアーティストと学生が鮮やかな色を使って描いた壁画がお披露目された。府警都島署も「犯罪抑止につながれば」と期待を寄せる。

 この日、大阪デザイナー専門学校(大阪市北区)の学生らが、JR京橋駅北口に近い高架下の壁画に最後の筆入れをし、完成させた。セレモニーに参加した大畑和彦・都島区長は「壁画は夜でも目立つ。より安全安心な町になる」と話した。

 鮮やかな色で描かれたのは虹色のクジラや、「不思議の国のアリス」のキャラクター、大きなジンベイザメなど。関西を拠点に活動するペイントアーティストグループ「KAOMANGAI(カオマンガイ)」と、大阪デザイナー専門学校の学生約30人が手がけた。9月中旬から約1カ月かけて4作品を完成させた。

 壁画は、京橋を明るくしようという「リデザイン京橋プロジェクト」の一環。都島署が発案し、民間企業や地元の商店会連絡協議会などが協力して進めた。

 京橋は戦後、闇市としてにぎわい、高度経済成長期になると、駅利用者の増加とともに食堂やキャバレーが集まり繁華街として栄えた。活気のある一方、放置自転車やごみも多く、路上犯罪もたびたび起きた。「京橋地域の安全なまちづくり連絡協議会」の会長で、京橋で50年ほど前にガソリンスタンドを始めた玉置紘一さん(79)はそんな京橋の姿を見てきた。

 協議会のメンバーは夜間パトロールし、府警も違法風俗店の摘発などを続けた。この10年間、京橋駅周辺地区の犯罪は半分以下になったという。

 だが、ごみをポイ捨てする人や客引きはなかなか減らなかった。そんな中で、壁画アートが企画された。

 まちづくりと犯罪との関係に詳しい立正大学・小宮信夫教授によると、オーストリアで地下通路に抽象画を描いたり、コロンビアの街中で壁画を施したりして地域の治安が良くなった例があるという。

 今回、壁画は落書きなどがあった場所を塗り直した。小宮教授によると、落書きやごみの不法投棄など管理が行き届いていない場所は犯罪が起こりやすいといい、きれいな状態にすれば、住民や町を使う人の治安への意識も高まるという。小宮教授は「取り組みは治安向上に効果があるだろう」と話す。

 壁画を作成した学生の一人、岩本香蓮(かれん)さん(20)は、最初に壁画を描く高架下を見たとき「暗いし、夜は通りたくない」と感じた。カラフルな春夏秋冬などをイメージした絵を描こうと学生たちで話し合った。「通る人には見て楽しんで、ハッピーでテンションが上がる場所だと思ってほしい」と願いを込めた。

 完成した壁画を見た玉置さんは「壁画は地域が安全・安心な町を目指すという証し。訪れる人にもそれを感じてほしい」と話した。(甲斐江里子)