なぜ強いオリックス、25年ぶりの優勝めざす 歴代番記者が熱く語る

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 プロ野球12球団で最も優勝から遠ざかるオリックス・バファローズが今、首位を走っている。1996年の日本一から苦節25年。ようやく巡ってきた好機だ。ゲーム差なしで優勝を逃した2014年の「10・2」を担当した記者をはじめ、耐え忍んだ時代を見た朝日新聞の歴代担当が今の強さの要因を語り合い、思いの丈をぶつけ合った。

    ◇

 稲崎航一(プロ野球デスク) オリックスが優勝を目前にしているけど、実は7年前にもチャンスがあった。惜しくも優勝を逃した伝説の「10・2」のソフトバンク戦だね。

 鈴木健輔(2013~15年担当) 十回1死満塁で比嘉幹貴。登板過多でボロボロで、松田宣浩にサヨナラ打を打たれた。勝ち星でソフトバンクを上回ったけど勝率で負けた。

 金子千尋(弌大、現日本ハム)が大黒柱で、今の山本由伸みたいだった。中継ぎは佐藤達也に比嘉ら、抑えが平野佳寿。夏場に雨が続いて終盤の連戦でやられた。

 稲崎 来年こそはという空気もあったけど。

 鈴木 補強が大失敗だった。中島宏之(現巨人)やブランコ、日本ハムからは小谷野栄一(現オリックスコーチ)と何十億円も使ったけど、14年にやった機動力野球ができず。15年早々に森脇浩司監督は職を追われた。

弱いチームと聞いていたけど…違うやん!

 竹田竜世(18年担当) 森脇さんも代行から。代行監督が続いたのはその場しのぎ、球団のビジョンのなさが出ていたというか。

     ◇

 辻隆徳(18年担当) 18年のオフは小谷野が引退して中島は巨人、金子は日本ハムへ。西勇輝もFAで阪神に……。今思えば一つの時代が終わり、転換期だったのかな。当時は本拠地でもビジターのような雰囲気の暗さを感じた。

 山田佳毅(20年担当) 20年は誤算の年。山岡泰輔と山本がいて、打線は大リーグ282本塁打のジョーンズを獲得。でもキャンプからマイペースで迫力がないと思っていたら、あっという間にシーズンが終わった。

 稲崎 これまでの低迷ぶりを聞いて、今の担当はどう思った?

 佐藤祐生(21年担当) 弱いチームと聞いて担当になったけど、違うなと(笑)。ソフトバンクや日本ハムの雰囲気や声出しを見ていると、オリックスはおとなしいかなって思う。でも雰囲気はいいとみんな言っています。

 稲崎 T―岡田を若手がいじっているよね。

ビビっときたイチローの助言

 佐藤 けがで登録抹消された時、選手がみんな悲しそうにしていて、愛されているなと感じました。杉本裕太郎が勝手にT―岡田の香水を使い始めたら打てるようになったとか。

オリックス、強くなった理由

25年ぶりに優勝を狙える位置にいるオリックス・バファローズ。杉本、宗、福田といった2軍でくすぶっていた若手、中堅が一気に飛躍しました。その秘訣は? 記事後半では、チームを熟知する中嶋監督が打った秘策に迫ります。

 稲崎 そういうネタをお立ち台で話すことも今まではなかった。そんな雰囲気を作ったのは中嶋聡監督?

 佐藤 元気なのは広島から来…

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    野村周平
    (朝日新聞スポーツ部記者=スポーツ行政)
    2021年10月14日17時3分 投稿
    【視点】

    これを読んで、優勝争いを続けるオリックスのスカウト戦略や育成方針が更に知りたくなりました。なぜ低迷期にあっても、即戦力に頼らず、潜在能力が高い高校生の指名に踏み切ることができたのか。監督の手腕はもちろんあるのでしょうが、これだけいい投手が相

    …続きを読む
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    稲崎航一
    (朝日新聞大阪スポーツ部長)
    2021年10月14日17時3分 投稿
    【視点】

    不肖わたし、司会者役を務めました。 四半世紀ぶりの優勝といえば、あの広島カープの2016年も、25年ぶりの栄冠でした。 座談会でも語られていますが、キーワードは「補強から育成へ」でしょう。 2014年、あと一歩で優勝を逃した球団は

    …続きを読む