第11回妖怪「ぬえ」が迎えたピンチ 自民のハト派にとどめ? プチ鹿島さん

有料会員記事2021衆院選自民

聞き手・牛尾梓
写真・図版
問われる民意2021⑪プチ鹿島さん
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 自民党総裁選はハト派・リベラル派を代表する派閥のトップ、岸田文雄氏が勝利し、第100代の首相として衆議院を解散。4年ぶりの衆院選が19日に公示されます。強権的な政治手法がみられた安倍・菅政権から変化はあるのか。時事芸人のプチ鹿島さんは、いまが自民党の「瀬戸際」だと指摘します。

誰の「安定」なのか

 ――自民党総裁選で、岸田氏が決選投票の末、新総裁に選出されました。

 僕は毎日、14紙の新聞の読み比べをしているのですが、総裁選翌日の読売新聞の朝刊1面に、政治部長が「決め手になった『安定感』」という記事を書いていた。ここでポイントなのは、これは自民党内の視線の解説なんです。この「安定」を選んだのは自民党内の権力闘争であり、自民党の政治家の論理であって、党員以外の僕らの「安定」ではないわけです。

 「次の衆院選や来年の参院選までは安全運転の岸田さんがいい」とか、「高市早苗さんや河野太郎さんまで幅が振れるよりは、ここまで党勢も回復したんだし、安定の岸田さんでいいでしょう」っていう話であって、じゃあ僕ら国民や一般有権者にとっての「安定」が岸田さんかと言えば、それはまだわからないわけですよね。同じ日、日本経済新聞は「今の日本に猶予はない」と、岸田さんに課されるのは党内の安定ではなく「危機を直視し、覚悟をもって不断の改革をやり遂げることだ」と書いていました。

 こちらは自民党以外の視点も含まれた解説。読売も日経もどちらも参考になりますが、自民党内のイベントと、国民が何を望んでいるかということは別ものとして頭に入れて読まないと、「安定の岸田さんとともに一致団結して頑張りましょう!」と、まるで僕らが「疑似党員」のようになってしまう。そこは記事を楽しむときに、気をつけなくてはいけないことだと思っています。

「聞きすぎる力」?

 岸田さんは、総裁選に出馬表明後の最初の記者会見で、事実上「二階幹事長を再任しない」って宣言しましたよね。あの先制パンチがかなり大きかった。あの発言を聞いた時、「今年の岸田さんは1年前とは違って、すごい腹をくくっているな」と思った。

 勝手なイメージですけど、岸田さんっていわゆるけんかの仕方が上手じゃない。去年もそうだし、3年前の総裁選のときも安倍さんと会談して出馬を見送って、どちらかというとふにゃふにゃ優柔不断なイメージ。そう考えると、ひと味違うなというのは確かにありました。

 ただ結局、そのあとはいつも通りの岸田さんに戻った感じがします。森友学園の問題にからむ公文書改ざんの再調査についても、テレビで「国民が納得するまで努力をすることは大事だ」と発言しつつ、総裁選中に再調査はしない考えを示しました。多分、安倍さんの周辺からプレッシャーがあったのでしょう。

総選挙が迫るなか、いま私たちが考えるべきことは何か。有権者として何を問われているのか。寄稿やインタビューを通して考える連載です。記事後半では、安倍・菅政権を「自民党の良さが消えた9年間」と語るプチ鹿島さんが、岸田政権に問うべきものは何かを論じます。

 ――岸田新体制を見ると、「安倍カラー」が強い印象です。

 岸田さんは最初、いいことを…

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