培養肉のもとを作成 筋肉と脂肪成分の自由なデザインへの応用に期待

神宮司実玲
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 牛からとった細胞を培養し、筋肉と脂肪成分の両方を一度につくり出し、「培養肉」のもととなるかたまりをつくることに成功したと、順天堂大などのグループが発表した。筋肉と脂肪成分のバランスを自由にデザインした培養肉がつくれると期待される。

 培養肉は、生きた動物からとった少量の細胞を大量に培養し、人工的につくる肉。人口増加による食糧危機、牛のげっぷに含まれる温室効果ガスの問題などへの対策として注目されている。

 海外の一部では培養肉を使った加工食品が販売されているが、国内では研究段階で、市場では流通していない。これまで報告されている培養肉のほとんどは、赤身となる筋肉の細胞を培養して増やした筋繊維をまとめたもので、後から脂肪などを注入し、「肉らしさ」を出している。

 研究グループは今回、牛の骨格筋からとった特定の細胞を培養し、筋肉と脂肪の両方の成分をもつかたまりにする技術を開発した。この細胞は増えやすく、細胞同士が集まる能力が高い。現時点では、直径0・5ミリのかたまりにすることができている。さらに大きくするため、コラーゲンの一種「コラーゲンゲル」に埋め込んで培養すると、直径1・5センチほどになったという。

 順天堂大の赤澤智宏教授によると、この技術で、牛肉100グラムから特定の細胞をとって、21日間培養すると、70兆個以上の細胞を得ることができると試算する。赤澤さんは、「一つの細胞から培養肉をつくることで、コストや時間の短縮につながるのではないか。培養の方法を工夫して、筋肉や脂肪成分のバランスを調整したり、体に良い油を含んだりできたら、栄養機能食品としての応用も期待できる」と話す。

 論文は、スイス科学誌オンライン版(https://doi.org/10.3390/cells10092499別ウインドウで開きます)に掲載された。(神宮司実玲)