仮想空間で聴こえる虚構と矛盾の「声」 VRでひもとく京都学派

田中ゑれ奈
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 思想は時代を動かしたのか。時代に絡め取られたのか。哲学者・西田幾多郎を中心とする「京都学派」をモチーフにしたVR(仮想現実)と3Dアニメの作品「ヴォイス・オブ・ヴォイド―虚無の声」が、京都市の京都芸術センターで公開中だ。

 シンガポール美術家ホー・ツーニェンが、山口情報芸術センター(YCAM)と共同で制作した映像インスタレーション

 VR作品で鑑賞者は、戦前・戦中に京都学派の「四天王」が京都・東山の料亭で開いた座談会を、速記者の視点で観察する。鑑賞中に姿勢を変えると別の仮想空間に移動し、思想犯とされた哲学者が獄死した監獄や、ロボット兵士が飛び交う空で、京都学派の関係者が残した複数のテキストにまつわる語りを聴くことになる。

 京都学派は戦争協力者として批判された一方、アジア侵略を正当化する東山の座談会の裏で、戦争終結を画策する海軍リベラル派と秘密会合を開いていた。2枚のスクリーンが重なるように配置された映像作品は、二つの相反する会合と空間の二重性がオーバーラップする。帝国主義全体主義が力を増した時代の言葉は、現代にも通じる虚構と矛盾の響きをはらむ。

 24日まで。VR体験は一部日時のみ予約可。京都芸術センター(https://www.kac.or.jp別ウインドウで開きます)。(田中ゑれ奈)

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