帰還困難区域に生息するイノシシやヘビ、低線量被曝の影響なし

福地慶太郎
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 2016~18年に福島県浪江町など5町村の帰還困難区域や周辺で捕獲された野生のイノシシやヘビを調べたところ、被曝(ひばく)によるDNAの損傷といった悪影響は認められないとの研究結果を、福島大などのチームがまとめた。低線量の被曝が続く状況でも問題なく生息しているという。

 チームは、体の仕組みが比較的人間に近いイノシシと、地表や木の上といった汚染された物に常に接触して被曝をしているヘビ(アオダイショウ)を対象に、事故後の長期間にわたる被曝の影響を調べた。イノシシ45頭とヘビ20匹について、体内の放射性セシウム濃度や周囲の空間線量率をもとに被曝線量を推計。被曝線量が多いと増える染色体の異常が増えているかどうかなどを調べた。

 その結果、イノシシでは被曝線量が多いほど染色体の異常が増える傾向はみられず、ヘビでも被曝線量の増加による染色体への影響を確認できなかったという。チームのメンバーで、福島大環境放射能研究所のトーマス・ヒントン客員教授は「捕獲したイノシシのほとんどが2歳未満で、事故直後の高線量の被曝を受けていない。線量が高ければ健康被害を受けた可能性がある」と指摘。一方、今回の研究から、動物が継続的に被曝しても、「低線量であれば(放射線によって損傷した遺伝子の)修復メカニズムは十分に機能し続けることが示唆されている」と説明した。

 研究をまとめた論文は、ウェブサイト(https://doi.org/10.1016/j.envint.2021.106675別ウインドウで開きます)で読める。福地慶太郎