危険なため池、ドローンやタブレットで管理を促進 担い手不足に対応

坂田達郎
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 農業用ため池は、古くは江戸時代以前のほか、食糧増産が求められた戦時中にも全国で造られた。しかし、10年前の東日本大震災福島県、3年前の西日本豪雨では広島県で決壊し、死者が出た。適切な管理が急がれる中、山形県内でICT(情報通信技術)を使った点検が始まった。

 県の3月現在のまとめでは、県内に農業用ため池は1093カ所あり、決壊すれば下流の家屋などに被害が出る「防災重点農業用ため池」は370カ所にのぼる。そのうち、半数ほどを集落や個人が管理しており、専門知識をもつ人が点検をどう支援していくかが課題だ。

 「昨年7月に県内で豪雨災害があり、台風も毎年のように発生している。高齢化などで管理する人は少なくなっている」

 川西町大舟にある防災重点農業用ため池で10月4日、ICTを使った点検が試験的におこなわれた。山形市の県庁から担当者が現状を説明。稲作で水を使ってきた管理者の60代男性は、タブレット端末に映った担当者を見つめた。

 点検では、ドローンで人が立ち入れない場所を撮影したり、参加者が装着したウェアラブルカメラで見えにくい場所を大きく映し出したりした。管理者や県庁の担当者らは端末を見ながらため池に異常がないかを確認し、意見を交わした。

 管理者は梅雨期前の5月と台風期前の9月に定期点検をする。チェックリストに書き、提出を受けた市町村がデータベースに登録する。この日は専用アプリに入力し、省力化も試みた。点検項目は20ほどあり、「管理者が登録するには数が多い」という指摘も。アプリを開発した農研機構は改良を検討していく。

 ICTの活用が広がれば、陥没や水漏れがないかなど、危険性の判断に重要な点を専門家が遠隔で確かめることができる。県ため池サポートセンターが管理者の相談に応じ、技術的な支援の中心を担う。

 各市町村では、集落の住民とともにため池が決壊した場合に備えたハザードマップ作りが進む。370カ所のうちの約9割ですでに作成された。県農村整備課の担当者は「集落の上流にため池があり、豪雨などの際に不安を感じる住民もいる。状況をきちんと把握し、的確に対応できるようにしたい」と話す。(坂田達郎)