美しく描かれるのは女性だけ? 美男ばかりの展覧会から見えるもの

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大野択生
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 女性を描いた「美人画」の展覧会はよくあるが、この企画展で並ぶのは浮世絵日本画、漫画、現代美術の作品に描かれた男性たち。美男ばかりの展覧会は、どんなきっかけで生まれたのだろうか。

 歌人の与謝野晶子は、鎌倉の大仏に男性美を見いだし、「かまくらや みほとけなれど 釈迦牟尼(しゃかむに)は 美男におわす 夏木立かな」と詠んだ。埼玉県立近代美術館の企画展「美男におわす」のタイトルは、この歌からとったという。佐伯綾希学芸員は「私たちは男性美をどのように受け取ってきたのか、というのが一番のテーマ」と話す。「単に『美男がいっぱいいたなぁ』というだけでない余韻を展示から感じて下さる方が多い印象です」

 展示作品は、江戸時代以降に日本で生み出された約190点(前後期計)。いずれも、少年や大人の男性の美しさが光る。

 企画展は、島根県立石見美術館島根県益田市)と共同で立ち上げた。2014~15年に企画展「美少女の美術史」を開いた石見美術館で、美少女に続き美男にフォーカスした企画展の構想が生まれた。作品展示などで協力してくれる美術館を募ったところ、埼玉近美が名乗りを上げた。

 特定の時代や作家が描いた「美男」に注目した過去の展覧会や文献はあったものの、通史的にまとめたものは少なかった。男性同士の恋愛を描いたボーイズラブの文化史や、江戸時代における男色の研究も参考にして、できるだけ作品のジャンルにとらわれずに紹介することにしたという。

 埼玉近美の五味良子学芸員は「女性を客体化するまなざしの裏返しになってしまうと、今の時代にやる意味はちょっと弱いんじゃないかと思った」と話す。展示に向けて「振り返れば、美術史を編み直すような作業になった」という。

 では、美男の美術史とは。

 日本の絵画に描かれてきた代…

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