海から眺める断崖の奇観 東かがわ沿岸部に珍しい地形集まる

木下広大
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 岩肌に刻まれた白と黒のしま模様、細い岩の柱を積み上げたような断崖――。そんな不思議な光景が、香川県東かがわ市の沿岸部でいくつも見られ、国の天然記念物に指定されている「岩脈」もあるという。地元のNPOの協力を得て、珍しい景観の謎を追った。

 9月中旬、記者はNPO法人「東かがわ観光船協会」が用意したプレジャーボートに、観光ガイドらとともに乗り込んだ。徳島県鳴門市にほど近い東かがわ市東部の引田漁港を出ると、ボートはスピードを上げ、西へと進む。

 最初に訪れたのは、港を出てすぐの海岸沿いの小山。戦国時代に引田城が築かれた場所だ。海に面する山肌は波で削られ、岩が露出している。全体的に黒っぽい岩が多いが、よく見ると、下の一部分だけが白い。

 ガイドの滝水優さん(66)が「異なる岩が斜めに並んでいる珍しいもので、これを引田不整合と呼びます」と教えてくれた。白い岩は溶岩が固まった花崗岩(かこうがん)で、周囲の黒い岩(堆積〈たいせき〉岩)より1500万年ほど前にできたものだという。地殻変動で岩の境目が地表に現れたと考えられている。

 ボートはさらに西へ。付近で最も見応えがあるという、「ランプロファイア岩脈」に着いた。

 断崖に白と黒の岩がシマウマ模様のように交互に重なる。白い岩は先ほどと同じ花崗岩。割れて隙間ができたところに、黒い岩をつくる溶岩が入り込み、このような模様になったという。この岩脈は国の天然記念物に指定されている。

 近くにある別の天然記念物にも立ち寄った。香川県さぬき市に近い無人島の絹島と丸亀島だ。「四国側から見ると、木の生えたこんもりした島でしかないんですが、北側へ回ると特徴が見えてきます」と滝水さん。波の浸食で島の片側が削られ、ごつごつとした岩肌がむき出しになっていた。

 注目すべきは、その岩が細い柱やブロックを横に積み上げたような形になっていることだ。溶岩が固まった際にできる「柱状節理」と呼ばれるもので、福井県東尋坊兵庫県の玄武洞などに代表される。

 滝水さんは「各地の柱状節理は鉛筆を縦に立てたようなもの。ところが、ここは横に並んでいて、非常に珍しい」。島には波による洞窟(海食洞)も見られた。

 なぜこうした地形が東かがわ市に集中して見られるのか。地質に詳しい香川大の長谷川修一特任教授によると、この地域はかつて火山活動が激しかった場所で、溶岩による岩が多いという。その後の地殻変動でそうした岩が海面近くに分布。波で削られることで特徴ある姿になったという。

 加えて、付近の引田や馬篠は港として栄えた町。船乗りを通じてこうした景観の存在が古くから知られていたため、早くに天然記念物などとして価値を認められたのではないかとみられるという。

 東かがわ観光船協会は、同様のクルーズツアーを毎年4~9月の土日祝日に実施している。今年度はすでに終了し、来年4月に再開するという。一度に参加できるのは最大18人までで、参加費は1人4千円。要予約。(木下広大)

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