子どもの貧困対策に取り組むNPO「キッズドア」の渡辺由美子理事長に、これからの立憲民主党に期待することを聞いた。
――立憲民主党との関わりはいつからですか。
私たちがNPOとして活動を始めたのがちょうど2009年の民主党政権の頃でした。当時の政権が「新しい公共」という理念を打ち出し、行政がやるだけでは解決できない問題をNPOや地域の団体と一緒にやっていこうという姿勢はとても素晴らしいと思いました。その頃から時々、意見を聞いてもらったりしていました。立憲の議員の方々とは、個別に私たちの意見を聞いてもらっています。
困窮する「ふたり親」への現金給付は与野党の声から実現
――何か要望が政策につながったと実感したことはありますか。
新型コロナの感染拡大で、ふたり親家庭の困窮が大きな問題となりました。ふたり親にも給付金を出して欲しいと、与党にも野党にお願いしました。最初は「ふたり親に現金給付をしたことは一度もなく、難しい」と言われました。しかし、立憲の議員はじめ、「何かやりましょう」と言って動いてくれました。最終的には与党の力が大きかったと思いますが、最初に立憲の議員が声を上げてくれたことは心強かったです。最近は、与党の方々からも、ヒアリングをさせてほしい、現場を見せて欲しいと言われることも多くなりました。
――立憲の支持率が上がらない原因をどう見ていますか。
なりふり構わず政権をとって、国民のためにがんばるっていうのが、いま一つ感じられないからではないでしょうか。
――立憲は私たちを代弁してくれる、という実感がないということでしょうか。
人生に絶望している若い人たちはたくさんいる
20代、30代で人生に絶望している人は本当にたくさんいます。私たちの活動のなかで、「子どもがいるから死ねない」という声もよく聞きます。成功しているのは一部の人で、将来にまったく展望を描けていない人が本当に多い。そういう人たちは、ひたすら政治に失望しています。見捨てられたと思っています。そういう人たちに届く政策を打ち出してほしいです。
立憲が政権をとったらどんな姿になるのかが見えないから、そこに乗れないのではないでしょうか。
――立憲は格差是正や消費減税を打ち出しています。
税金のことは若い人たちも関心を持っています。でも、そういう人たちに届かない。民主党政権では、「こども手当」があり、税の再分配によってこういう社会をつくるんだというわかりやすいメッセージがありました。
私の所見ですが、頭が良すぎるというか、理論を通そうとしすぎるようにも見えます。
――どういうことでしょうか。
立憲民主党の主張は「頭が良すぎるのでは」
国会を開かないのはひどいことだと思います。給付金がでなくて、年を越せないかもしれない人がたくさんいる。報道では「憲法何条に違反しているからおかしい」と。憲法に照らして正しいか正しくないかではなくて、大変な事態なんだから国会を開かないなんてあり得ないでしょう、と言ってくれた方が伝わるんじゃないでしょうか。私が先日NHKの討論番組「日曜討論」に出演して、窮状を伝えたら、知らない方から折り鶴が送られてきたんです。「何もできないけど、がんばってほしい」って。
――枝野幸男代表は、草の根の民主主義、ボトムアップの政治を訴えていますがどう受け止めますか。
やや伝わりづらいかもしれません。今の政治で困っている人たちは自分たちを「草の根」とは思っていないと思います。本当に痛めつけられて、がんばっても報われない、働きたくても働けない、被害者だと思います。一人ひとりの議員はよく理解してくれているのですが、それが党のメッセージとして伝わらないのは残念です。
立憲民主党がどういう社会をつくりたいのか見せてほしいと思います。(聞き手・三輪さち子)
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