「脱炭素」の船、実用化へ船出 水素燃料電池、課題も多く

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田中奏子 野口陽
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 「脱炭素」に向けた技術開発が、船舶にも広がり始めている。ヤンマーは13日、船用の水素燃料電池システムを開発し、航続距離を大幅に伸ばすことに成功したと発表した。岩谷産業も同じ仕組みの船の開発を進めており、両社とも2025年の大阪・関西万博までの実用化を目指している。

 「加速します」。ヤンマーが大阪湾で12日に開いた水素燃料電池船の試乗会。時速約18キロで走っていた10人乗りの船は、20秒ほどで約33キロに達した。積み込んだ水素と酸素を反応させて電気をつくる「燃料電池」でモーターを動かす仕組み。ガソリンや軽油を使ったエンジンより、一気に出力を上げられるという。

 最大の売りは、二酸化炭素(CO2)などの排ガスを出さないこと。排ガス臭がないと船酔いもしづらいといい、この日は波が高く船が揺れたが気分は悪くならなかった。エンジンより騒音が少ないのも利点で、船内では操縦士の声がはっきり聞こえた。

 ヤンマーが本格的に開発を始…

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