「日本の演劇は幼い」 栗山民也の毒舌に大竹しのぶも「つまんない」

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聞き手・井上秀樹
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 医療現場で少女が亡くなったことが発端で、信仰や人種など現代の断層が見えていく。英国の劇作家ロバート・アイクの「ザ・ドクター」を主演の大竹しのぶと演出の栗山民也が語るうち、矛先はあらぬ方向へ。

家庭劇も社会派なのよ

 ――大竹さんはロンドンで見たそうですね。

 大竹 「初演なんだけどすごい評判がいいから見た方がいい」って言われて。一人一人が魅力ある人たちだった。主役の女優さんのリアリティーある演技に吸い込まれて、楽しかったですね。単語でいま宗教的な話してるんだな、人種差別的なことなんだなとか、少しずつは分かってたんです。でも日本語の台本読んで初めて、あっこういうストーリーだったんだって。

 ――客席の様子は。

 大竹 小さな劇場だったんですけども、声を荒らげるとか、熱演するとかではなく、大げさな演技をする人は全くいなかった。ホントに病院の人が来て集まって、「あれどうする」「どういう問題だっけ」みたいなおしゃべりが始まる、栗山さんがいままさに稽古場でおっしゃっていることが行われてました。

 ――どこに関心を持ちましたか。

 栗山 現代医療を通して社会を映す鏡、みたいなんですね。でね、この作家の面白いところは、いわゆるテーマとかメッセージってのは書かないんですよ。いろんな現代の病巣、世の中にはびこってる問いかけみたいなのを、ドキュメンタリータッチで提示していくっていうか。だから客席に座ってる僕たち観客はその問いかけを受け止めるっていう。

 大竹 答えが出るわけじゃない作品。

 栗山 ともに劇場で考えよう、みたいなね。英国の演劇は、たとえば普通の家庭劇であっても、家の人とか、郵便屋さんとか、いろんなキャラクターが必ずやある歴史認識があったり、人種問題があったり、宗教問題があったり。日本だとね、妙に社会派のドラマだとか言われるけど、イギリスなんかみんな社会派なのよ。そういう意味で刺激的だし、それをちゃんと吸収しないと。日本の演劇、幼いなあ、なんて思いながら作ってんだけどね。

 ――作品の特徴は。

 特徴っていうかね、朝起きて朝刊を広げると、いろんな事件がばーっと載ってますよね。それがアップデートされた感じで台本全体に見えてくるっていうか。それがね、現代の病巣なんですね。それは、ヨーロッパの社会がそうなのかな。たとえばトランスジェンダーの問題なんてのは、僕がロンドンに留学してたときに、コミュニティセンターってのが必ず地域にあって、そこにゲイクラブ、レズビアンクラブってのがある、コーラスクラブと同じように。そんぐらい、社会的に認められてる。

 大竹 娘が留学してた学校にもありました。

 栗山 でしょ。だから日本は…

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