任期直前の衆院解散、その意味は? 識者「弱気の首相像、打破狙う」

2021衆院選自民

聞き手・久保田侑暉
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 衆院が14日、解散される。衆院議員の任期満了が21日に迫る中での衆院解散にどのような意味があるのか、そもそも解散の意義とは。「『解散』の政治学 戦後日本政治史」の著書がある専修大学の藤本一美名誉教授(政治学)に聞いた。

 ――憲法7条は、内閣の助言と承認に基づく天皇の国事行為のひとつとして、衆院の解散を挙げ、過去、多くの首相がこの規定を根拠に解散をしてきました。岸田文雄首相による今回の解散をどう見ていますか。

 「国民の側から見れば、何も無理して解散する必要もなく、任期満了で衆議院選挙を行っても良かったのではないでしょうか。自民党公明党が政治的優位性を誇示するために、解散を断行するのだと考えます。自民党総裁選が行われ、マスメディアの関心が集まり、それが宣伝になった。政権側は総裁選の熱があるうちに勢いの中でやろうとしたんでしょう」

 ――そもそも解散の意義とは?

 「本来は政治が行きづまった際、衆院議員の任期満了以前に、国民の審判を受けるところに意義があります。(憲法69条に基づき)衆院で不信任決議案が可決された場合や、新たに生じた争点を国民に問う場合に解散権が行使されるべきで、恣意(しい)的に解散権を行使することは控えるべきです」

 ――任期満了選挙はなぜ避けられたのでしょう?

 「任期満了になったら、岸田首相は相変わらず弱気で物事を突破する気持ちがないと言われます。新政権として解散を断行することで実行力をアピールし、内閣支持率の向上を狙っているのではないでしょうか。(「政治とカネ」の問題が取りざたされてきた)甘利明氏を自民党幹事長に登用したことが批判されているが、選挙で勝てば批判は吹っ飛ぶ。与党にとって有利なタイミングで実行できる解散総選挙は爆発力のある手段です。ただ、実際は任期満了選挙。今までで一番盛り上がらない解散ではないでしょうか」

 ――これまでの解散との違いは?

 「解散は政治的必要性に迫られて決断する場合が多かったが、今回は意味づけや背景が不透明です。1976年、三木武夫内閣のときに『任期満了選挙』に追い込まれ、自民党が過半数を割る惨敗に追い込まれた。岸田首相は、その轍(てつ)を踏まないよう警戒しているのかもしれません」

 ――解散の時期が任期満了近くまで延びた理由は?

 「新型コロナウイルスの感染拡大が大きかった。感染が拡大する中では、とても解散権を行使することは無理だった。有権者が納得しないでしょう。今回の解散をあえて命名するなら、『新型コロナ解散』ではないでしょうか」(聞き手・久保田侑暉)

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