第2回「10・2」死力尽くしたオリックス 暗黒期を見た記者がVに思う

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鈴木健輔
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 オリックスが先頭でゴールテープを切った。感無量。あの悔しい記憶が一気に薄らいでいく。

 以前3年間、オリックスを担当した私には忘れられない光景がある。

 2014年10月2日夜、福岡・ヤフオクドーム(現ペイペイドーム)。同点で迎えた延長十回、ソフトバンクが攻める1死満塁だった。

 オリックスの右サイド投手、比嘉幹貴の外角スライダーに、右打席の松田宣浩が踏み込んだ。とらえた打球が左中間を破る。守りにつくオリックスの選手が、グラウンドに次々とうずくまっていった。

 勝てばマジック1が点灯するはずだった。それが、サヨナラ負けでソフトバンクに優勝をさらわれた。

 ライバルたちがつくる歓喜の輪の外で、伊藤光捕手(現DeNA)が泣き崩れた。

 勝率で2厘及ばなかったものの、勝ち星数ではソフトバンクを二つ上回る80勝。2位で臨むクライマックスシリーズ(CS)を残していたが、「すべてが終わった」と思わせるこの光景を見て、突破は難しいだろうと感じた。

 巨大戦力のソフトバンクとのペナント争いを制すため、死力を尽くして戦った。

救援陣にたまった疲労

 この年の大黒柱はエース金子千尋(弌大、現日本ハム)だったが、森脇浩司監督が頼ったのは、救援陣だった。

 中継ぎに佐藤達也、馬原孝浩、比嘉、マエストリ、岸田護らがいて、抑えに平野佳寿。右投手ばかりでもレベルが高く、リードして終盤を迎えた試合は大抵ものにした。

 だが勝負の秋。生命線である彼らが、疲弊していった。

 夏場の雨天中止の影響もあり、9月13日から9連戦、移動日を挟んで、8連戦。そのまま福岡入りし、10月2日、ソフトバンクとの大一番に臨んだ。

 勝ち負け一つが優勝の行方を左右する終盤戦を、オリックスベンチは「短期決戦」と位置づけていた。

 先発投手が好投しても5回以内で交代させ、救援陣をフル稼働させる試合も。そのツケは、想像以上に大きかった。

 ソフトバンク時代に優勝経験のある馬原から、後にこう聞いた。

 「優勝争いの中の疲れは違う…

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    稲崎航一
    (朝日新聞編集委員=スポーツ、野球)
    2021年10月29日15時57分 投稿

    【視点】近鉄ファンの言葉が重く響きます。 「わしらは今も近鉄と思って応援している」 今回、オリックスは25年ぶりの優勝としています。2001年の近鉄のリーグ優勝は含んでいないという解釈です。 やはり、合併とはいうものの、近鉄は消滅した