パディ・モローニさん死去 アイルランド「チーフタンズ」のリーダー

定塚遼

 アイルランドを代表するバンド「チーフタンズ」の創設者でリーダーのパディ・モローニさんが83歳で死去したと、英メディアなどが伝えた。

 1962年にチーフタンズを結成し、バグパイプや笛を担当した。アルバムを1枚作って解散するはずだったというバンドは、その後約60年間にわたって活躍を続け、アイルランドの伝統音楽を世界に広めた。

 「アナザー・カントリー」(92年)、「サンティアーゴ」(96年)など6作品で米グラミー賞に輝いている。ロックやソウルミュージシャンとの共演も多く、「ロング・ブラック・ヴェイル」(95年)にはローリング・ストーンズやスティングが参加した。スタンリー・キューブリック監督の映画「バリー・リンドン」(75年)では音楽が使われ、米アカデミー賞の歌曲賞を受けた。

 来日公演も頻繁におこない、矢野顕子や林英哲らとも共演した。

 過去の朝日新聞の取材では、侵略を受けてきたアイルランドの歴史と、そうした困難な状況下で生まれてきた音楽文化について、たびたび言及した。

 2017年のインタビューでは「小さな島国を英国が占領し、彼らは何百年も帰らなかった。そんな時代を経ても、アイルランドのアートや文学は損なわれない強さがある。ケルト音楽は一度聴くと忘れない『何か』がある。もっと聴きたいと思わせる『何か』がある」と語っていた。(定塚遼)