全国に先駆けて感染拡大した北海道 新型コロナ第5波までを振り返る
東京五輪・パラリンピックの期間に感染拡大が起きた新型コロナウイルスの「第5波」が下火となり、首都圏や北海道などで出されていた緊急事態宣言は1日、一斉に解除された。北海道では昨年1月28日の感染初確認以降、全国に先駆けて広がった。1年8カ月余りにわたる感染の波を札幌医科大学の當瀬規嗣教授(細胞生理学)に振り返ってもらい、冬に向けての展望についても聞いた。
とうせ・のりつぐ 1959年北海道赤平市生まれ、滝川市で育つ。北海道大学医学部卒業。北大医学部助手、米シンシナティ大学助教授などを経て98年から札幌医科大学医学部教授。2006~10年には同大医学部長を務めた。
昨年1月末、中国・武漢市から訪れた観光客が発症し、さっぽろ雪まつりをきっかけに感染の拡大が起こった。この第1波での1日あたりの感染者数の確認は最多でも15人。現在のとらえ方からすると多くはないが、イベントなどをきっかけに各地に広がった事実は「道民に危機感を覚えさせた」と當瀬教授はいう。
続いて3月末、本州で欧州経由で入ってきた型による感染が拡大した(本州の第1波)。北海道へも年度末の人口移動に伴い入り込み、大きな第2波となった。期間中の1日の感染者数は45人が最多。有効な対処法が確立されていないなか、高齢者施設などでクラスター(感染者集団)が連続して発生し、患者数に比して死者数が多かった。
その夏、東京を中心に感染拡大が起きたとき(本州の第2波)、北海道では目立った感染拡大は起こらず、感染者数は比較的少ない状況が続いた。しかし、このとき発生した変異ウイルス(いわゆる東京型)が秋にかけて徐々に拡大。10月に東京発着のGoToトラベルが始まり、「観光客がススキノを中心とした札幌地区に入った。これが第3波のきっかけとなった」(當瀬教授)。11月20日に感染者304人が確認され、年末にかけていったんは減少したが、年末年始の人出で再び拡大に転じ、今年2月末まで長きにわたった。
減少もつかの間、再び年度替わりの人の移動の活発化と、英国で見つかったアルファ株が3月から広がり始めたことから、第4波が4月以降に猛威を振るった。大型連休後の5月21日にはこれまでで最も多い727人の感染が確認され、死者も5月31日と6月8日に過去最多の19人が発表されるなど2桁台が続いた。道内の医療体制は逼迫(ひっぱく)して崩壊寸前に至り、累計死者は1千人を超えた。
そして7月。第5波がインドで見つかったデルタ株の侵入により引き起こされた。「北海道での流行は、五輪マラソンなど競技の開催そのものより、大会準備のため人の移動が活発化したことで拡大した」
ただ第5波では、感染者数は…

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