リニア初の大深度地下工事、JR東海が掘削に着手、住民から反発も

小川崇、阿久沢悦子
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 リニア中央新幹線の工事の一環として、JR東海は14日、東京都品川区の深さ40メートル以上の大深度地下で、シールドマシン(大型掘削機)を使った作業に着手した。リニアでの大深度地下工事は初めて。同工事では東京都調布市で昨秋、住宅街の道路が陥没する事故が起きており、住民の一部が反発している。

 同社によると、品川―名古屋間の286キロのうち、都内や川崎市の33キロと名古屋市などの17キロが同工事の対象区間。直径14メートルのシールドマシンを用いる「シールド工法」で実施する。

 今回の作業について、同社は「調査掘進」と位置づけているが、実際にリニアが走行する区間を掘る。半年ほどかけて、深さ約90メートルの北品川非常口から水平に300メートルほど掘削し、地盤や構造物への影響などを確認する。調査結果は周辺住民に報告し、来年度以降は月ごとに約400メートル掘り進める。

 JR東海の金子慎社長は13日の定例会見で「調査掘進は、不安にしっかり答えようということがひとつの目的。調査の結果をお知らせした後で本格的な掘進に入るので、慎重な手順を踏んでいることをご理解頂きたい」と説明した。

 大深度地下工事をめぐっては昨年10月、東日本高速道路(NEXCO東日本)による調布市内の東京外郭環状道路地下トンネルのルート上で、陥没や空洞が見つかった。JR東海はリニア工事の住民向けの説明会で「外環道の陥没場所に比べて対象工区の地盤は締まっている」などと説明していた。

 沿線住民らでつくる「リニアから住環境を守る田園調布住民の会」(大田区)の三木一彦代表は今回の作業着手について「事実上の掘削開始であり、容認できるものではなく中止を求める」として抗議声明を出した。国土交通省が調布市の陥没事故を受けてシールド工法に関する検討会を9月28日に開いたことを挙げて、「この検討会の結論を待たずに工事を開始するなどあってはならない」と話した。

 また、今月26日に東京地裁であるリニア工事差し止め訴訟の第一回口頭弁論や衆院選公示前の着手は「急いで既成事実を作りたいという意図的なものだ」と批判した。

 品川区によると、JR東海から調査掘進開始の連絡が入ったのは11日。東京・生活者ネットワークの吉田由美子区議は「JRは行政と密接に連携を取っているというが、3日前の告知は直前すぎないか」と疑問を呈した。

 14日の作業を現場近くで見守った地元の女性(62)は「説明不足のまま工事が始まるのは心配だ」と話した。(小川崇、阿久沢悦子)