世界で広がる「気候安全保障」の考え方 日本が歩むべき道筋は

坪谷英紀
【動画】気候安全保障と地政学
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 国際シンポジウム「朝日地球会議2021」(朝日新聞社主催)はオンラインで開催され、2日目の18日、パネル討論「気候安全保障と地政学」を配信した。亀山康子・国立環境研究所社会システム領域長と朝日新聞の海外特派員らが、国際政治の世界で広がっている気候安全保障の考え方について語り、世界情勢と今後の日本が歩むべき道筋を探った。

 気候変動を安全保障の問題としてとらえる「気候安全保障」という考え方が、国際政治の世界で一般的になっている。再生可能エネルギーが急速に広がる中、石油や天然ガスといった化石燃料を元にした地政学も大きく変わっている。

 国立環境研究所社会システム領域長の亀山康子さんは、水害や干ばつなど気候変動が原因で災害が頻発し、深刻化する食糧不足で政情が不安定になって難民が増えたり、感染症が蔓延(まんえん)して市民生活が脅かされたりするなど、安全保障上の問題が起きていると指摘。「日本では台風や水害を地震と同じように人間がどうしようもない天災ととらえている。しかし、海外では地球温暖化で増えているので、これ以上増やさないように、温室効果ガスの排出を減らさなければいけないと考えるようになっている」と話した。

 中国では習近平(シーチンピン)国家主席が「2030年までに温室効果ガスの実質的な排出を減少に転じさせ、60年にはゼロにする」と表明。風力や太陽光による発電が急速に普及し、輸出もしている。中国は世界のエネルギー事情を大きく変えようとしている。

 朝日新聞の奥寺淳・広州支局長は「現地の取材で感じたのは勢い。その規模と速さ。風力発電所をつくるのも、日本では10年かかるのが1年ほどでできてしまう。世界をリードし、外交上も大きな力を持とうとしている」と指摘した。

 英国で急速に普及している洋上風力発電を取材した金成隆一・ヨーロッパ総局員は「英国では政治家が指導力を発揮し、洋上風力発電を導入するための計画を示し、投資家に長期的な確実性を提供してきた。英国で成功した欧州の風力発電の事業者は同じ島国の日本への参入に意欲を示している」と話した。(坪谷英紀)