コロナの流行が生んだ医療危機 パンデミックに備えて今できること

新型コロナウイルス

コーディネーター・辻外記子
【動画】新型コロナで逼迫した日本の医療を考える
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 国際シンポジウム「朝日地球会議2021」(朝日新聞社主催)はオンラインで開催され、2日目の18日、パネル討論「新型コロナで逼迫(ひっぱく)した日本の医療を考える」を配信した。忽那賢志・大阪大大学院教授、二木立・日本福祉大名誉教授、ジャパンハート職員の宮田理香・看護師らが登壇。新型コロナウイルス感染症の流行が生んだ医療危機の課題を整理し、次なるパンデミックに備えていまできること、改善すべき点について議論した。

 新型コロナウイルス感染症の流行で逼迫(ひっぱく)した日本の医療。何が問題で、どう改善していくべきか。感染症専門医の忽那(くつな)賢志・大阪大教授と医療政策を専門とする二木立(りゅう)・日本福祉大名誉教授、認定NPO法人ジャパンハート看護師の宮田理香さんが議論した。

 忽那さんは、国立国際医療研究センター病院(東京都新宿区)に勤めていた昨春や今年初めに、入院を断らざるをえなかったことを振り返った。全国のクラスター(感染者集団)現場に入り、ケアをしてきた宮田さんは、看護師も治療薬も不足して「ここは日本なのか」と感じた瞬間についても語った。

 何が問題だったのか。

 忽那さんは、数少ない感染症の専門家がいれば何とかなるとの想定で、「コロナほど広がる感染症への備えがなかった」と指摘した。

 二木さんも「日本の感染症対応は、有事を想定してこなかった」と話した。日本はベッドが多いとされるが、コロナ対応ができる急性期のベッドは欧米よりむしろ少なく、医師や看護師は極端に少ないと説明。「患者を診るのはベッドじゃなく医療従事者」と強調した。そのうえで「非常時にも、平等に必要な医療を受けられる大切さを多くの人が痛感した。医療には効率だけでなく余裕が必要だとわかった」と述べた。

 今後についても、人の確保がかぎとなる。

 宮田さんは「ベッドという『ハコ』を増やしても、医師や看護師がそこにいなければ医療が提供できない」と述べ、「一部の人による誹謗(ひぼう)中傷により、傷つく医療者もいる。差別や疲労が重なり離職してしまう人が出ないよう、理解を深めてほしい」と話した。そして、スタッフの派遣を効率よくできるよう民間団体との連携を深めるなど柔軟な対応を自治体に求めた。

 忽那さんは「感染症は感染症専門医呼吸器内科医だけが診るということではなく、幅広い医療者が感染症に対応できるよう人材を育成していくことが大事だ」と教育や研修の重要性を説いた。(コーディネーター・辻外記子

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