「おまえうまそうだな」が愛に変わるまで 赤ちゃんに出会った暴君は

有料会員記事

聞き手・中井なつみ
写真・図版
ティラノサウルスがアンキロサウルスの赤ちゃんと出会う場面=「おまえうまそうだな」から(ポプラ社提供)
[PR]

「ひひひひ……おまえうまそうだな」。赤ちゃん恐竜を前にこうつぶやくティラノサウルス。絶体絶命のピンチに見える場面ですが、このあとに宮西達也さんが描いたのは「親子の愛」でした。

「強いものや、権力のあるものがすべてではない」。作品に込めたこの思いは、絵本作家になりたての若いころ、経済的にも苦しかった自身の経験も投影されているといいます。宮西さんに、ティラノサウルスを通じて伝えたかった思いを聞きました。

「おまえうまそうだな」(2003年、ポプラ社、シリーズ累計200万部)

大昔、あるところに生まれたアンキロサウルスの赤ちゃん。ひとりぼっちの赤ちゃんのもとに、大きな体をしたティラノサウルスが現れました。ティラノサウルスは赤ちゃんに飛びかかろうとしますが……。

最初は1冊だけのつもりが

 20年近く前の「おまえうまそうだな」から始まった、ティラノサウルスを主人公にした絵本も15冊になりました。最初は1冊だけのつもりでしたが、出してみたらみなさんにすごく喜んでいただけて、どんどん続編を描くことになったのです。

写真・図版
1956年、静岡県生まれ。人形美術やグラフィックデザイナーなどを経験し、絵本作家に。2017年には、同県三島市に「TATSU’S GALLERY」を開設。ほかの代表作に「にゃーご」(鈴木出版)、「はーい!」(アリス館)、「おとうさんはウルトラマン」(学研プラス)など。

 このシリーズのテーマは、「無償の愛」や「優しさ」「思いやり」です。人って、何げない会話のなかで、「こんなに大きい家に住めるなんてすごいね」とか、「こんなに高そうな車に乗れるなんて、すごいね」なんて言葉を口にすることがあると思うのですが、それって、「『お金』や『権力』を持つ人がすごい」という深層心理があるからですよね。

 絵本を描き始めたころ、いろ…

この記事は有料会員記事です。残り1439文字有料会員になると続きをお読みいただけます。