気候変動・生物多様性を解決して持続可能な社会へ ビジネスの役割は

コーディネーター・石井徹
【動画】気候変動だけじゃない!第2部 ビジネスでサステイナブルな未来をつくる
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 国際シンポジウム「朝日地球会議2021」(朝日新聞社主催)はオンラインで開催され、4日目の20日、パネル討論「気候変動だけじゃない!第2部 ビジネスでサステイナブルな未来をつくる」を配信した。りそなアセットマネジメント責任投資部長の松原稔さん、イオン環境社会貢献責任者の三宅香さん、東京大教授の高村ゆかりさんらが登壇。気候変動生物多様性の問題を解決し持続可能な社会を維持していくうえで、ビジネスにはどんな役割が求められているのかを論じ合った。

 洪水や干ばつ海面上昇など世界各地で地球温暖化による影響が顕著だ。だが、危機は気候変動だけではない。現代は史上6度目の「大量絶滅時代」と言われ、生物多様性の劣化は食料や水、健康など人類の生存基盤を脅かしており、気候変動との同時解決が求められている。

 第1部「生物多様性の視点をどう組み込むか」では、まず東京大学未来ビジョン研究センターの高村ゆかり教授が、気候変動の現状や生物多様性に与える影響について説明した。

 東京大学大学院農学生命科学研究科の橋本禅准教授は「気候変動の制御と生物多様性の保全は相互依存関係にあり、持続可能な社会に欠かせない」との見方を紹介。気候変動だけに焦点をあてた視野の狭い対策は、生物多様性に悪影響を及ぼす可能性があるが、「逆に生物多様性の保全や再生は、気候変動対策に相乗効果をもたらすことが多い」と指摘した。

 アクサ・インベストメント・マネージャーズESGリサーチヘッドのヴィルジニー・デルーさんは「生物多様性は世界のGDPの50%に影響する。リスクには、気候変動と同様に金融セクターを含むすべての関係者による世界的な対応が必要だ」と強調。投資家の立場から「金融資本を持続可能で自然にやさしい解決策に向かわせなければならない」と述べた。生物多様性関連の財務情報の開示や影響評価の指標づくり、集団的な取り組みの重要性についても触れた。

 若者代表として参加した環境活動家で日本特殊陶業サステナビリティ推進室勤務のカトリン・フンクさんは「2年前からビーガン(完全菜食)生活を続けている。畜産による森林破壊などで気候変動生物多様性に悪影響を与えるからだ」と話した。

 「私たちに何ができるのか」と問われると、全員が「商品選択が世界とつながっていて、大きな影響を与えていることを認識することが重要」と話した。

 第2部「ビジネスでサステイナブルな未来をつくる」では、日本のビジネスパーソンが議論した。

 イオン環境社会貢献責任者の三宅香さんは、脱炭素の取り組みや第三者認証を通じた持続可能な調達などを紹介、「消費者や取引先などすべての関係者がつながって、最終的に持続可能な社会が構築できる」と述べた。

 りそなアセットマネジメント責任投資部長の松原稔さんは「生物多様性が企業活動にとっていかに重要か」に触れ、同社が開発した投資が生物多様性に与える影響を測る方法などについて説明した。

 討議では、三宅さんが「投資家の質問は当初、チェックボックス的でバツが多いと投資してもらえない感じだったが、最近は建設的対話が増えてきた」、松原さんが「何をやっているかではなく、ビジネスにどんな意味があるのかを聞くことで、企業が社会課題をどうとらえているのかが分かる」などと発言、率直な議論が交わされた。

 高村さんは「地球と私たちは一体であり、世界を変えられるかは、私たちの選択にかかっている」と議論を締めくくった。(コーディネーター・石井徹