会いに行ける「森のアイドル」 大きな瞳のかわいい君に僕は恋をした
夕暮れ時、木にあいた穴からひょっこりと顔を出す。夜行性のエゾモモンガにとって、日暮れが活動の合図になる。エサを探したり、仲間と遊んだり。木と木の間を滑空して大忙しだ。
「どこをとっても全部かわいい」。野生動物を撮影する北海道釧路市の佐藤章さん(48)の推しはもちろんエゾモモンガだ。道内各地でその姿をカメラに収めている。
クリクリした大きな目で見つめられると思わず胸キュン。写真家の間でも大人気で、「僕たちの中では『森のアイドル』。年配のカメラ仲間もモモンガを見ると目がハートになっています」。
滑空する姿は、佐藤さんいわく「まるで空飛ぶ食パン」。手足の間にある飛膜を広げて数十メートルは飛ぶ。運動神経がいいのか、人がいたり、木があっても、滑空中にしっぽでうまく飛ぶコースを変えたりしている。強風時には風を読んで、切れのいいスライダーのようにぐぐっと軌道を変えて木に着地することもあるらしい。
エゾモモンガは北海道にすむ固有種で体長10~20センチほど。森だけでなく、札幌市といった市街地の公園や神社にもすみついているという。ハンノキのつぼみや、木の葉といった植物を食べ、キツツキが開けた木の穴を巣として使う。巣穴で越冬し、冬眠はしない。
その愛らしい姿から、エゾモモンガはJR北海道のICカード乗車券「Kitaca」のキャラクターにもなっている。
昼間は出てこないエゾモモンガをどうやって見つけるのか。木の下に、フンや食べかけの葉や枝などが落ちていることがある。その木の上にある巣穴を狙って、あとは辛抱強く待ってみよう。おすすめの時間は巣穴から出る夕方や戻ってくる明け方。きっと森のアイドルが顔を出すはずだ。会えたら驚かせたり怖がらせたりしないよう、静かに見守ろう。(小川詩織)
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