衆院解散 有権者の声

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 衆議院が14日解散し、事実上の選挙戦がスタートした。4年ぶりとなる政権選択の選挙では、これまでの実績のほか、新型コロナウイルス対策や疲弊した地域経済の立て直し策なども問われる。山陰両県の有権者にこの4年を振り返ってもらい、政治に何を望むか尋ねた。

 島根県隠岐の島町の医師松下耕太郎さん(60)は、この4年で一層進んだ地域格差に危機感を募らせる。「都会に人が集まる一方、地方の過疎化は止まらない。都会は別世界になりつつある」

 松下さんは広島市から移住し、島内でへき地医療に取り組む。島内はコロナ禍で観光産業を中心に経済的打撃を受ける一方、医療体制が脆弱(ぜいじゃく)で、住民には観光客の受け入れに不安も根強い。だが、感染対策を取りながら経済を動かさないと、隠岐はますます落ち込んでしまう。「一度人が住まなくなれば、地域の復活は難しい。地域医療の整備なども含め、政治には本腰を入れて過疎化の対策をして欲しい」

「災害時支援を」

 鳥取県北栄町のスイカ農家、山脇篤志・大栄西瓜(すいか)組合協議会長(51)も「経済対策で株価が上がり、『日本』としての経済は良くなったが、地方は良くなったと感じない」と話す。

 スイカは近年、高単価での販売が続くが、台風など自然災害の被害も増えている。収穫シーズン中だった今年7月も、記録的な大雨に見舞われた。「気候変動に伴う災害時の支援を、県レベルだけでなく国政レベルでも考えて欲しい」と期待する。

「先が見えない」

 コロナ禍に苦しみ、今後に不安を感じる人も多い。鳥取市鳥取砂丘でパラグライダー教室を手がけ、鳥取砂丘アクティビティ協会長を務める片岡義夫さん(58)は「『ウィズコロナ』とよく言われるが、どこまでがよくて、何が駄目なのかが見えない。結果的に失敗してもいいから、具体的な形や目標値を示してほしい」と注文する。

 今の売り上げはコロナ禍前の半分以下。行政の助成制度を活用して経営を維持してきたが、「このままではじり貧だ。先が見えないから、やめどきなのか、形を変えて続けていけるのか判断できない」。

 鳥取県米子市の飲食業、蔵重夕季さん(38)もホテルの1階で洋食レストランを営むが、コロナで夜の団体客、朝のホテル宿泊客の多くが姿を消した。昼のテイクアウトを始めたが、売り上げはコロナ前の3割減。困窮する現場を政治はどれほど理解しているのか、疑問に感じることもある。「自民党総裁選は茶番のようにも見えたし、野党の方も何をしているのか中ぶらりんのよう。こちらが投げかけたことに国民目線で答えて欲しい」

 島根県浜田市のカフェ店主、野村純子さん(51)も「潤っている人と、日常生活にも困る人との経済格差は一段と広がった。潤っている人の意向だけで政権運営をしている印象だ」と話し、「新しい政権には、現場の声をしっかりと吸い上げる仕組みを作ってほしい」と願う。

 一方、今回初めて衆院選で投票する松江市の島根大学2年、庄司一晟(いっせい)さん(20)は「不安や不満はなく、政治に何か変えてもらいたいと思うことはない」。授業に部活、アルバイト、YouTubeを見て寝る。周りの学生には今の生活に満足な人が多く、選挙に行く人は少ないのではと感じる。

 それでも投票しないよりはした方がいいと、地方選にも毎回足を運んできた。今回も候補者の政策をよく比較するつもりだ。「当選したら、本当にその政策が実行できるのかが一番大事。インパクトに踊らされないようにしたい」