ユニクロ柳井氏「政治的選択を迫る風潮は…」 人権問題に自ら言及 

山下裕志、伊藤弘毅
[PR]

 「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングが14日発表した2021年8月期決算(国際会計基準)は、純利益が前年比約1・9倍の1698億円で過去最高だった。稼ぎ頭の国内事業が「巣ごもり需要」で好調だったほか、中国市場の早期回復が新型コロナ禍での最高益を支えた。

 売上高は前年比6・2%増の2兆1329億円だった。前年は春先に多くの店が臨時休業を余儀なくされて17年ぶりの減収だったが、新型コロナ禍前の9割超の水準に戻った。

 ルームウェアなどがよく売れた国内事業と共に復調を支えたのが、中国の好調ぶりだ。ユニクロの店舗数は、すでに中国の832店が日本の810店を上回る。売上高は日本が8426億円で4・4%増だったのに対し、中国・香港・台湾は5322億円と規模は劣るが16・7%増。営業利益も約1・5倍に伸びた。

 一方、中国をめぐっては人権問題もくすぶる。新疆ウイグル自治区で生産される新疆綿は、アパレル各社にとって重要な原材料である一方、欧米諸国などは強制労働があるとして問題視している。

 4月の会見では「政治問題なのでノーコメント」などと答えていた柳井正・会長兼社長は、この日の決算会見で、質問を受ける前に自ら人権問題について切り出した。新疆綿の話題と特定はしなかったが、「グローバル企業として、フェアな取引をし、社会を豊かにしていくことが使命」とした上で、「多くの企業に対し、政治的な選択を迫るような風潮には強い疑問を感じている」と言及。「むしろ業界の先頭に立って、それらの問題の監視、改善の努力を行ってきたのは我々だ」とも語った。

 素材工場と縫製工場については、自社と第三者による監査で人権問題がないと確認ずみで、今後は原材料の産地の農家などにも自社調査を広げる。国内外で100人規模のチームを立ち上げて取り組みを始めたことも明らかにした。(山下裕志、伊藤弘毅