異例の短期決戦、衆院解散受け岡山県内の有権者は

2021衆院選

中村建太
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 衆議院が14日解散され、事実上の選挙戦が始まった。就任間もない岸田文雄首相が決断し、投開票まで17日間という異例の短さだ。新型コロナウイルス感染防止策や経済対策など課題が山積する中、県内の有権者は今回の解散、総選挙をどう見ているのか。

 県内の有権者に争点となる問題を聞くと、コロナ対策だけでなく、学校法人森友学園を巡る財務省の公文書改ざんや子育て施策など様々なテーマがあがった。

 中1と小5の姉妹を育てる倉敷市真備町の小幡恭子さん(47)は、2018年の西日本豪雨で全壊した自宅を再建した。投票先は、子育て施策を大きな要素として考えるつもりだ。学習塾の月謝が家計を圧迫していて、「無償化が全てではないけれど、子育て施策を見極めたい」と話す。

 津山市に住むパート主婦(41)は、安倍晋三元首相時代から森友問題で十分な説明責任を果たさない自民政権に怒りを感じている。今回はコロナ下ということもあり、生活に密着した経済対策や減税などにも関心が向く。2人いる娘の1人は障害があり、障害者福祉や大学無償化にも注目しているという。

 限られた時間で、投票先をどう決めるか苦悩する有権者も少なくない。

 「主婦は忙しい。17日間でどう決めればいいのか」。岡山市東区の70代主婦はそういらだつ。コロナワクチンの3回目接種の早期実施や、北朝鮮による拉致問題の前進など重視するポイントは複数あるという。

 赤磐市の大学1年の女性(19)は「こんな短期間で判断できるかな……」と不安げに言う。投票には行きたいが、国内の課題や、どの立候補予定者がどんな政策を掲げているかもまだ理解しきれていない。ぎりぎりまでSNSや選挙チラシを見比べるつもりだという。

 訴えの違いが見えてこない。政治家には不信感がある――。そんな冷めた目線で見つめる若い世代も。

 医療職としてコロナ対応に追われる臨床検査技師、山田智大さん(30)=津山市。政治家たちをみると、自民、立憲のどちらが政権を取っても期待は持てない、とあきらめモードだ。せめて、支える世代の気持ちがわかる人にもっと活躍してもらいたいと願う。

 イベント企画会社員の三島知幸さん(22)=岡山市南区=は「コロナ対応が争点になると思うが、どの政党がいいのか違いが見えづらい」と話す。選ぶ基準は「10~30年後の将来を見据えている人」。「若い世代に投資し、起業や働きやすい環境を作り、子どもたちが将来に希望をもてる社会を築ける」候補者を探そうと思っている。

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 超短期決戦といわれる今回の衆院選。めまぐるしく動く事態のなか、有権者は何を見て判断すればいいのか――。(中村建太)

学生団体「ivote」元代表で岡山大大学院2年の別木萌果さん

 岡山大大学院2年の別木(べっき)萌果さん(23)は、14日の解散について「(岸田政権発足から)早くてけしからんと捉えるか、それとも期待をいち早く託せると捉えるか。それも一つの判断材料になる」と言う。

 前回2017年は、学生団体「ivote」の代表を務め、全国で若者の投票率アップを目指した。同世代には「与野党とも希望が持てない」「自分の声が政治に届かない」といった声が多かったという。

 ivoteの活動で政治家との対話を重ねた。「与野党とも親身に聞いてくれる人が多かった。自分の声を伝えることが大事なんだ」。政治家が政策を紹介し、直接コメントできるアプリなども出てきた。「伝わる実感が持てれば、選挙に興味も持てる」と、有権者が政治と身近に関わる経験をすることも重要だと訴える。

 中でもすすめるのは「マイ争点」。「選択的夫婦別姓なら、党の賛否を調べる。財源論では消費税重視か、法人税重視か。興味のある分野から政策をみてほしい」と言う。候補者のSNSアカウントのフォローも有効だ。「有権者と対話する姿勢があるか。政策の説明をきちんとしているか。まずはチェックしてみては」

岡山大・地域総合研究センターの岩淵泰准教授

 政治学が専門で、「岡山市明るい選挙推進協議会」の会長を務める岩淵泰・岡山大准教授(41)は、衆院選の特徴に、岸田政権は発足したばかりで、まだ実績がないことを挙げる。政権の信任投票という色は薄く、「仕事ぶりの確認は選挙後。有権者には難しい選択となるだろう」。

 コロナ禍での選挙であることにも着目する。緊急事態宣言などに伴う自粛要請が続いたことで「生活が政治にものすごく影響を受けるようになった」と指摘。「誰を選ぶかが自分たちの生活に直結する時代の極めて大切な選挙になる」と強調する。

 一方、与野党の政策をみても、特に経済面ではこれまでの対立構造から大きな変化は無いと考える。「経済中心に成長が先と考える与党か、社会保障中心に分配を優先する野党か。そこが最も分かりやすい対立軸になる」

 解散から投開票まで17日間という短期決戦で、政党や候補者の訴えがどこまで届くか懸念の声もある。有権者には「短期間だからこそ、訴えを知ろうとする努力が大事」といい、さらには「選挙が終わってからも議員の仕事を厳しく見る必要がある」と語る。

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