トヨタ労組、50年来の組織内候補に突然の幕引き 地元が感じた異変

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 トヨタ労組出身で無所属の古本伸一郎前衆院議員(愛知11区、当選6回)が14日夕、愛知県豊田市で急きょ記者会見を開き、19日公示の衆院選に立候補しないと表明した。

 解散当日の表明に「最後まで悩んだ。朝、国会議事堂に行ったが、改めてこれしかないと今日決断した」と述べた。

 古本氏は、同労組の組織内議員として6期18年務めた。会見で「2012年に民主党が下野してからは与野党の対立だけが目立ち、政権交代だけが目的化する政治に仲間を巻き込んだ」と述べ、1人しか当選しない小選挙区制に疑問を投げかけた。

 カーボンニュートラル(CN、温室効果ガス実質排出ゼロ)や社会保障の財源確保、新型コロナウイルス対策などを「待ったなしの課題」「社会で力を合わせる課題」と指摘。与野党によるあらゆる政治的選択肢が必要だとし「対立が前提の小選挙区に身内が出るのを私で終わりにする。地域、トヨタの皆さまは新しい選択肢を手にすることが可能になる」と強調した。

 また「小選挙区二大政党は18年たっても11区になじまなかった。世界で戦う民間企業やコロナに苦しむ事業者のスピード感からすれば、まだ待ってくれとは言えない」とも語った。

 トヨタ自動車関連企業の310組合を傘下に持つ全国最大規模の全トヨタ労働組合連合会が与党への接近を強めていることを念頭に、記者団から「自民党に配慮したのか」と問われると、古本氏は「何党かより何で政策実現するかの方がよほど地域の皆さんにお答えできると思った。この判断は自民の想定は一切ない。そう言われると言葉を失うぐらい残念だ」と強く反論した。

 トヨタ労組は今後衆院選で11区に組織内候補を立てない。古本氏の処遇は「何も決まっていない」という。参院選は「全国比例なので対立は起きない。引き続き候補者を擁立し支援する」という。

引退会見の背景に何があったのか。記事後半で読み解きます。古本氏の記者会見での発言内容も紹介しています。

 11区では共産党の本多信弘氏と自民の八木哲也前衆院議員が立候補準備を進める。八木氏は同日夜、地元での豊田青年会議所の創立60周年記念式典に参加する際、記者団の取材に応じ「新幹線の中で聞いた、驚きだ」と話した。古本氏陣営に選挙事務所を構える様子が見られなかったとも話し「組合が強力だから不思議にも感じなかった」と述べた。

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2021衆院選

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