新聞が消えて「寂しい」よりも バイパス計画で見えた記者の意味

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論説委員・沢村亙
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現場へ! 米ローカルメディアの挑戦②

 「新聞がなくなって、何か困っていない?」。レベッカ・コールデン(61)が尋ねた。高校生たちは「別に」といった反応だ。コールデンは続けた。「町を通る幹線道路のバイパス建設を州政府が計画しているんだけど」。会場がざわついた。「そんな話、聞いていない」という声も上がった。

 地元の高校で、メディアがテーマの講演会に呼ばれた時のことだ。米中西部ミネソタ州の町ウォーロードで1897年から続く新聞パイオニアを発行していた。だが、広告収入の低迷で2019年5月に廃刊を余儀なくされた。

 社員4人の小所帯だったが、町の役場、学校、産業、スポーツまで地域のニュースをきめ細かく拾い、住民の生活に寄り添ってきたという自負はあった。料理欄や健康欄も売り物だった。それでも活字離れやネット普及といった時代の流れにあらがえなかった。

 いまも町で出会った昔の読者から「新聞がないと寂しいね」と声をかけられる。しかしコールデンにとって気がかりなのは、住民にとって最も重要な情報が知らされなくなったことだ。

 例えばバイパス計画も、町に…

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