システム移行で高額見積もり→断念…囲い込み恐れ、次々判明 公取委

田中恭太
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 「業者に仕様書案を作ってもらっている」「データ移行で高額見積もりが出てシステム変更を断念した」――。官公庁による情報システム調達の実態を調べている公正取引委員会の調査で、不当な囲い込みにつながりかねない様々な事例が明らかになってきた。公取委は問題性を検討したうえで、年内に報告書をとりまとめる方針。

 公取委は公正な競争が行われているかを調べる狙いで、6月から国の機関や地方公共団体に、アンケートや聞き取りを実施。現時点でわかった内容を、調査の一環で15日に開いた有識者との意見交換会で示した。

 資料によると、官公庁からは「特定業者の独自仕様の提案を受けることがある」「自治体の規模が小さく、職員だけで仕様書を作るのが難しい。業者から案をもらい、修正して使っている」などの声があった。また、他業者のシステムを導入しようとしたところ、データの移行に関して、既存の業者から高額な費用を求められたり、移行自体を拒まれたりして、導入を断念した例もあったという。

 このほか、「サーバーもセットで導入しないと保守対象外にする」と要求されたり、「特定メーカーの端末でないと安定稼働が保証できない」「指定のプリンター以外なら別途費用がかかる」と業者に言われ、従ったりした例もあった。

 システム調達では、既存業者からの乗り換えが難しくなる「ベンダーロックイン」と呼ばれる状態が起き、費用が高止まりする恐れが指摘されている。公取委もこの問題に特に注目。こうした状態を招きかねない業者側の行為や、専門人材の不足や研修態勢など、発注者側の課題も調べている。

 公取委によると、有識者からは「人材確保が困難ななか、デジタル庁や自治体の連携を通して、人材や知識を共有できる仕組みの構築が重要だ」などの意見も出たという。

 業者側の働きかけについては、営業努力や知的財産の保護など、正当と認められる場合もあるとみられる。公取委は聞き取った事例をもとに、他業者を不当に排除しているとして問題となりうるケースや、発注者、業者の双方が注意すべき点などを検討を重ね、公表する予定。田中恭太