隔離生活の寮で配膳とゴミ回収 法政監督の涙と東京六大学の結束力

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 変則日程で開催中の東京六大学野球秋季リーグを取材しながら、スポーツマンシップの大切さを再確認している。

 法大の野球部で新型コロナウイルスの部内集団感染があり、部活動が停止されたのは8月20日。活動再開は早くても9月25日となり、同11日開幕のリーグ戦参加は絶望的とみられた。加藤重雄監督も「半分以上あきらめていました」と打ち明ける。部員が寮内で隔離生活を送る間は、各部屋に食事を運び、ゴミを回収する日々を、大島公一助監督とともに過ごしたという。

 「不戦敗、不戦勝は避けてリーグとして六つのカードを完遂したい」(内藤雅之事務局長)。連盟は開幕2日前の9月9日、理事会で日程の大幅変更を決めた。開幕を1週間遅らせた上で、法大の試合を10月に集中的に組む異例の変則日程をとったのだ。

 他の5校も一部で過密日程になるが、「われわれも(集団感染の)可能性はある。力を合わせて6校で乗り切るのが大事」(早大・小宮山悟監督)などと理解を示した。

 「なんとか法政を仲間に入れてやろうという、皆さまの熱い思いが胸にズシンと来ました」。法大の加藤監督は理事会後のオンライン会見で声を詰まらせた。練習不足のハンディはあるが、「スポーツマンシップにのっとり、正々堂々と、学生らしい試合をしたい」と約束した。

 10月9日、法大は無事に初戦を迎えた。先発した三浦銀二主将は「連盟関係者、他の5大学のご理解により神宮に立てました」と感謝した。ここまで2敗2引き分け。勝利は手にしていないが、法大の選手がはつらつとプレーする姿が印象に残った。彼らの心意気を感じながら、相手校も全力でぶつかっている。

 1903年に始まった早大―慶大の対抗戦に端を発する東京六大学野球は、日本のスポーツ界を長くリードしてきた。戦時中の43年には出陣学徒壮行早慶戦を挙行。終戦直後もOB戦などを行い、いち早く球音を復活させた。

 新型コロナ感染が急拡大した昨年も、春季リーグ開催の可能性を探り続け、感染対策を講じた上で8月にずらして開催している。

 厳しい状況下でも、ライバルと競い合い、高め合う機会を大切にしてきた。2021年秋もきっと、歴史に刻まれるシーズンになる。(編集委員・安藤嘉浩