「選挙は魔物」とも言われる。油断すると予想外の結果も――という意味だが、集まる票の裏にはどんな動きがあるのだろう。かつて議員秘書も務め、国政や地方議会など長野県内のさまざまな選挙に約半世紀も関わってきた「元参謀」に話を聞いた。本業は会社経営だが、今も選挙の相談が絶えないという。
――衆院選でも首長選でも全くの新人候補を支えたことが何度かある。そういう場合、何から手を付ける?
選挙区内の各集落を歩いて人を探すんだよ、選挙してくれる人を。回ってると「やってやるよ」って人が出てくるじゃない。次はその人に別の集落の知人を「紹介してくれ」って頼んで……。毎日歩く。
――最初に当たる人は区長とか?
そう。区長とかから当たっていく。でも、名のある人は、いい返事してくれないんだ。だいたい現職の方をやってるから。動いてくれるのは選挙に精通していない人ばかり。でも、それで組織を作っていくしかない。
――後援会組織を?
そう。後援会。後援会を作って、「仲間を1人増やしてくれや」とか「あそこの集落に知っている人いねえか」とか。地図に各集落の状況を記入し、やってくれる人のいない所で仲間を見つけていく。地道にこつこつ組織を作る。
――選挙が近づいたらどんな方法を?
地図に集落ごとの「票」を書…