ミニシアター、見たい映画を自ら作る 個性派続々、背景にある変化

有料会員記事

佐藤美鈴
[PR]

 ミニシアター発の映画の公開が相次ぐ。映画の目利きが自ら手掛けた渾身(こんしん)の作品から、ミニシアターへの恩返しのオムニバスまで。地域に根付いた小さな映画館ならではの視点やつながりを生かして、話題作を生み出している。

写真・図版
函館のシネマアイリスによる「草の響き」 (C) 2021 HAKODATE CINEMA IRIS

 柔らかな光に包まれた海や町並みなど、北海道・函館の風景を背景に、東出昌大さん演じる主人公が走り続ける。寄り添い傷付く妻、青春を生きる若者たちの姿も重ねながら、人生の複雑さを描く。

 今月から各地で公開されている「草の響き」(斎藤久志監督)。函館市にあるミニシアター「シネマアイリス」の25周年記念作品だ。地元出身で早世した作家、佐藤泰志さんの小説の映画化を2010年から続け、今作で5作目となる。

 「海炭市叙景」(熊切和嘉監督)を皮切りに、14年に「そこのみにて光輝く」(呉美保監督)、16年に「オーバー・フェンス」(山下敦弘監督)、18年に「きみの鳥はうたえる」(三宅唱監督)と注目監督とタッグを組み、国内外の映画祭などで高い評価を得てきた。

 「自分たちが上映したい、見たい映画を作りたかった」とシネマアイリスの菅原和博代表。08年に佐藤作品と出会って「つくるならこれしかない」と思い立った。

写真・図版
シネマアイリスの菅原和博代表=本人提供

 地元の映画ファンに協力を呼びかけ、募金や企業回り、借り入れもして約5千万円の製作資金を集めた。エキストラや弁当、車の手配まで、地元の人たちも撮影に関わる。

 観光地としてではない地方都市の日常を映し出した作家性の強い作品は高く評価され、全国各地のミニシアターで上映の輪が広がったこともあって興行的にも成功し、次の作品へとつながっていった。

 「草の響き」も菅原代表自ら原作を選び、監督や出演者と交渉し、ロケ地も選んだ。準備を進める中、昨年のコロナ禍で撮影は延期、映画館も一時休館に。

 しかし、市民からの応援の声…

この記事は有料会員記事です。残り1420文字有料会員になると続きをお読みいただけます。