結婚報道、週刊誌が小室家追う理由 「公人性高い」「国民の関心事」

赤田康和、杉浦達朗、貞国聖子
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 秋篠宮家の眞子さまと小室圭さんの結婚をめぐって週刊誌の報道が過熱している。小室家の私生活に踏み込み、バッシングととれる報道もあった。なぜ過熱したのか。問題は無いのか。赤田康和、杉浦達朗、貞国聖子)

 2人の交際が明らかになった2017年春以降、女性週刊誌3誌は関連記事を数多く掲載してきた。

 同年12月、「週刊女性」が「秋篠宮家激震! 結婚に“黄信号”」と題して小室さんの母・佳代さんが元婚約者から受け取った計400万円をめぐって対立が生じていると報道。その後、各誌で、この金銭トラブルの報道のほか、小室さん親子の私生活の暴露や親子への非難ともとれる報道が目立つようになった。

 「女性セブン」は19年4月、当時、米国留学中だった小室さんの「金銭面の不安」を指摘し、「セレブニート生活」と報道。「女性自身」は20年1月、佳代さんの指輪やクリスマスイブの行動を報じ、「金満潜伏を支える『恋人の存在』」と見出しに掲げた。「週刊女性」は今年4月、小室さんが公表した金銭トラブルの説明文書を「マザコン白書」と酷評した。

 一般週刊誌では発行部数が多い4誌の中で「週刊新潮」と「週刊文春」が小室さん関連の記事を多く載せてきた。「週刊新潮」は今年9月、「小室圭さん虚飾の全記録」と特集。「週刊文春」は20年12月、小室さんがインターナショナルスクール時代に同級生の女子をいじめていたと、女子の証言を元に報じた。

 各誌はなぜ力を入れるのか。「週刊新潮」の宮本太一編集長は取材に「お二人のご結婚は注目される国民的イベント。タブーなしに国民の関心事に切り込むのは我々、週刊誌ジャーナリズムの重要な仕事」と強調。眞子さまの弟悠仁さまが将来の皇位継承者であることを踏まえ、「小室さんが将来の天皇の義理の兄としてふさわしい方なのか、読者には懸念を抱く人が多く、我々の報道に対しても批判より賛同の声が多い」と話す。

 「週刊文春」の加藤晃彦編集長も「小室さんは公人性が極めて高く、どんな方なのか、伝える意義は大きい」と指摘。「不利益な過去の問題を報じる際も、当事者の証言や証拠となる音声やメールなど、あくまでも事実に基づいて報道している」と話した。

 また、加藤氏は「昭和から平成、令和へと時代が移るにつれて、皇室や皇族にとっても『公』の領域が小さくなり『私』の領域が大きくなっている。特に、眞子さまたち若い世代にとって、結婚そのものが『私』の領域、プライベートな事柄に属すると考えておられるのだと思う」と分析する。

 その上で「一方、国民の中には、皇族の結婚は、税金が投入される可能性があることや皇室のあり方に関わることから、まさに『公』の問題だと考えている人も少なくない。国民の中で、皇族の『公』『私』の線引きをめぐる考え方に分断が生まれている」と指摘し、「どこまでが報じる価値のある『公』の領域といえるのか、日々悩みながら誌面を作っている」とも話した。

 女性誌3誌は取材に応じなかった。

過熱する報道「批判的な記事、よく売れる」

 なぜここまで報道が過熱したのか。ある週刊誌の編集者は「小室さん親子に関する特集を載せた号はよく売れる。特に『疑惑』など批判的な記事が載った号はいい」と話す。別の記者も編集会議でお二人に関わる記事を常に求められると明かした。

 宮内庁の対応も影響したとみる向きがある。同庁は皇室報道で虚偽や誤認があると判断した場合、出版社への抗議や公式サイトで問題点の指摘をしてきたが、小室さん親子に関する報道は事実上静観してきた。「民間人であり、報道内容について宮内庁が真偽を調べることは難しく、コメントする立場にない」(関係者)というスタンスだ。

 18年5月には「眞子内親王殿下に関する最近の週刊誌報道について」と題した見解を発表したが、その際も、問題視したのは上皇ご夫妻に関する報道で、小室さん親子に関する報道には言及しなかった。

 週刊誌の記事はヤフーニュースに転載され、コメント欄に投稿が集まった。目立つのは結婚への反対や、結婚時に支給される予定だった一時金など税金が使われることへの批判だ。同庁は今月1日、眞子さまが複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断されたと公表。記者会見に同席した医師は「誹謗(ひぼう)中傷と感じる出来事」に「週刊誌報道」と「ネット上のコメント」が含まれると述べた。

 過熱する報道をめぐって皇室には苦い経験がある。1993年、皇后美智子さま(当時)は自身へのバッシング報道が週刊誌などで続く中で倒れ、声が出なくなった。美智子さまは当時、「事実でない報道には大きな悲しみと戸惑いを覚えます。批判の許されない社会であってはなりませんが、事実に基づかない批判が繰り返し許される社会であって欲しくはありません」とコメントした。

 当時を知る関係者は「週刊誌の大きな見出しとともに報じられることで根拠不明の情報が確定した事実のように大量に流通し、目にした人から批判の声が届くのは当時と同じ構図だ。今はSNSなどで拡散されて誤認が広まりやすい分、より危機的だ」と話す。

朝日新聞出版は

 朝日新聞出版の週刊誌なども報じてきた。編集方針はどうだったのか。

 「週刊朝日」は小室さんについて女性を魅了する「ヤバめの男」の空気があると評し、理由を考察するフリージャーナリストの記事などを掲載した。小室さんが金銭問題を説明する28枚の文書を公表したことについて「執拗(しつよう)ともいえる自己主張と、繰り広げられる正義」と論評した。渡部薫編集長は「皇族の結婚相手とその家族については国民の関心が高く、詳しく報じる必要があると考えている。ヒートアップする『疑惑』で読者をミスリードしないよう冷静な報道を心がけている。真実を伝えるという公益性と、報道される側の人権の保護の両方を検討し、私人につきまとったりメディアスクラムに加担したりしないよう配慮している」とした。

 「AERA」は「(小室さんの公表)文書から透けて見えるのは昭和的な野望と高いプライド、そして強い自己主張」とする記事などを掲載。片桐圭子編集長は「親子についてあまり報じないのは、皇族の結婚相手と家族であっても一般市民でプライバシーへの配慮が必要との考え方を重視しているため」とした。

 2誌の記事と独自記事を掲載するサイト「AERA dot.(アエラドット)」は結婚についてネット上でアンケートをし、何度でも回答できる形で約3万5千件を集計。「祝福する気持ちがない」が大半を占めたとし、「国民に対して説明責任を放棄しているから」といった意見も紹介した。小室さんの経済力を懸念する記事も掲載した。佳代さんが元婚約者にメールでトイレットペーパーの購入を依頼したとする記事では「小室さん親子のズレた金銭感覚」という見出しを掲げた。

 森下香枝編集長は「アンケート記事では祝福の声を多く紹介し、バランスを十分にとっている。小室さん親子に対しても節度をもって取材している。眞子さまと小室さんの結婚は社会の関心が高く、皇族の結婚という公益性のあるテーマゆえに多様な意見があることから、誹謗(ひぼう)中傷ではない宮内庁OBや官邸関係者、識者の意見や感想は紹介している」と説明した。

曽我部真裕・京都大教授(憲法・情報法)の話

 皇族の結婚相手に一定の条件が求められると考える国民がいることは否定できない。小室さん親子の金銭トラブルなど過去の問題は、この条件に関わるテーマで、報じることに一定の公共性があるといわざるをえない。

 ただ、一連の報道には、小室さんを「ジゴロ」「世間が嫌悪を催した青年」「髪結いの亭主」、佳代さんを「姑息(こそく)」「噓(うそ)と見栄(みえ)」と評するなど悪意があるとしか思えない表現が散見される。公共性のあるテーマに関する記事でも限度を超えた論評は違法となりえる。

 小室さんが訴訟を起こせばかえって世間の反発を呼ぶ恐れがあり、批判的な報道は相手が反論できない中でされている面がある。その点に大きな問題がある。

 国民のやじ馬的関心に際限なく応えていけば、公共性を逸脱していくことになる。報道機関には自らを律する倫理が求められる。

眞子さまと小室圭さんの結婚をめぐる経緯

2017年9月 2人が婚約内定の記者会見

   12月 週刊誌が小室さんの母佳代さんと元婚約者の「金銭トラブル」を報じる

 18年2月 宮内庁が結納にあたる「納采(のうさい)の儀」と結婚式の延期を発表

   11月 秋篠宮さまが会見で「多くの人が納得し、喜んでくれる状況にならなければ納采の儀を行うことはできない」「それ相応の対応をするべきだ」と問題解決を求める発言

 19年1月 小室さんが「(金銭問題は)解決済みの事柄と理解していた」とする文書を公表

 20年11月 宮内庁、眞子さまが記した「お気持ち」を文書で公表

 21年4月 小室さんが金銭トラブルの経緯を説明する28枚の文書を公表

   10月 宮内庁が2人の結婚を発表。眞子さまが複雑性PTSDと診断されていたと明かす