いまも菅前首相と2連ポスター…なぜ? 自民候補「ぶれずに戦う」

2021衆院選

上田雅文、坂井俊彦、贄川俊
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 政治家同士が並ぶ「2連ポスター」。街で見かけ、2人のつながりを知る手がかりとなるが、中には「どうして今この人と?」と首をかしげたくなるようなポスターがある。衆院議員の任期満了を超えた衆院選となったことで、不思議な現象も起きた。

 10月上旬、埼玉県さいたま市南区の街道沿いにある商店の掲示板。15区から立候補する予定の自民前職、田中良生氏(57)のポスターは菅義偉前首相と並んでいた。

 県内では、9月3日の菅前首相の事実上の退任表明後、複数の自民前職がポスターの相手を、菅前首相から前環境相の小泉進次郎氏らにかえた。自民総裁選で岸田文雄総裁が誕生し、政権が発足すると、相手を岸田首相にかえた同僚もいる。それでも、田中氏は同じ無派閥の菅前首相との2連ポスターにこだわった。

 田中氏は「人気がなくなったからと、別の人気政治家とのポスターにかえることはできない」ときっぱり。「経費と時間の問題が大きいが、これまで指導を受けてきた菅先生とのポスターでぶれずに戦い抜く思いだ」

 熊谷市の大半などが区域の12区から立候補する予定の立憲前職、森田俊和氏(47)の2連ポスターは、「政治分野の師」と仰ぐ上田清司参院議員と並ぶ。4期16年の知事経験を持つ上田氏のポスター起用は「知名度があり、地域に広く浸透している」のが理由。選挙区内に3千枚を掲示した。

 ただ上田氏は今夏以降、新党結成を模索し、立憲が既に候補者を擁立している県内の選挙区に、自身に近い候補者を立てようとする動きをみせた。新党結成には至らなかったが、立憲と競合する可能性はあった。立憲県連幹部は「違和感を持つ人もいるだろうが、(2連ポスターを)全部かえるとなると手間がかかる」。公示までは貼ったままでいるという。

 「まさか任期満了を超えての選挙になるとは」と驚きを隠さないのは、朝霞市などでつくる4区から立候補する予定の国民民主新顔、浅野克彦氏(47)。玉木雄一郎代表との2連ポスターを選挙区内の約200カ所に掲示したのは4月だった。写真の下に、小さな文字で演説会を10月31日に行うと「告知」した。

 こうした日程は、衆院選の投票日と推察される日よりも後に設定され、実際は演説会が開かれないのが通例になっている。現行憲法のもとで、衆院選はすべて衆院議員の任期満了日までに行われていることから、告知も、任期満了日の10月21日よりも後ろにずらして余裕を持たせたつもりだった。

 ところがふたを開けてみると、10月31日は今回の衆院選の投票日とぴったり。日程が重なった以上、演説会は予定通りやらなくなった。(上田雅文、坂井俊彦、贄川俊

     ◇

 「2連ポスター」を貼る背景には、公職選挙法が、衆院議員の任期満了日の6カ月前から衆院選の投開票日まで、候補予定者が個人ポスターを貼ることを禁止しているという事情がある。衆院選公示後は、候補者としての法定ポスターは許可される。ただし、この規制は政党の政治活動のポスターであればかからない。このため、公示までの間は政治活動にあたるとみなされる「2連ポスター」を貼ることが慣例になっている。

 埼玉県選管によると、2連ポスターが政党の政治活動とみなされるには、演説会などの行事を告知する▽政党の活動を書いた部分が3分の1以上▽個人の1人の部分が3分の1以下などの要件を満たす必要がある。

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