権力闘争の先にあるものは何か

山下周平
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 【岐阜】超名門高校の生徒会長選挙を舞台に権力闘争のダイナミズムと虚無を描く。

 海帝高校は多くの政治家や官僚を輩出する男子校。壮絶な選挙戦を勝ち抜き、部活動の予算配分などを掌握する生徒会長には将来の閣僚ポストが約束されている。

 主人公の帝一(菅田将暉)は、海帝OBで通産官僚の父(吉田鋼太郎)の影響で内部進学する前から生徒会長を狙う野心家。先輩の会長候補の誰に取り入り、どのように票を固め、信頼とポストを勝ち取るか。派閥、造反、賄賂、スキャンダル……。会長選挙は政界さながらの権力闘争の様相を呈す。

 一方で、帝一の恋人(永野芽郁)や外部から入学した人望のあるイケメンの弾(竹内涼真)ら覇権争いを一歩引いてみる存在も描かれ、帝一は自分の夢の意味について立ち止まる。彼の野心の源泉が何であるか分かるとき、観客は「世襲」の彼が抱える宿命の悲哀を知る。

 羽島市映画資料館の相談役、近藤良一さんは「コメディーかと思いきや、主人公を正義感の強い弾ではなく、野心家の帝一にしたことで見る者の価値観を揺さぶる怪作にならしめた」と評価する。(山下周平)