東海3県の中心となるのが愛知1区だ。名古屋市中心部で、河村たかし名古屋市長の衆院議員時代からの地盤でもある。
「選挙モンスター」の異名を持つ河村氏が今回は「参戦」せず、自民党と立憲民主党の事実上の一騎打ちとなる見通しだ。両陣営とも「河村票」の行方が勝敗のカギと見定めるが、河村氏は与野党を問わず得票してきただけに、「雲をつかむよう」(立憲陣営幹部)と手探り状態だ。
1区は河村氏が2009年の市長就任以降、自ら率いる地域政党「減税日本」の市議らを衆院選に擁立してきた。今回、東京五輪選手の金メダルをかじった問題などが影響し、擁立の具体的な動きはみられない。
自民の熊田裕通氏(57)、立憲の吉田統彦氏(46)に河村氏系候補も絡む戦いが12年から続き、前回17年は河村氏が小池百合子東京都知事と連携。減税市議を希望の党公認候補として擁立し、4万8千票余りを獲得した。この票に与野党双方が注目する。
11日早朝、熊田氏は地下鉄駅の入り口に立っていた。「声をお聞かせください」と書かれたのぼりを持ち、行き交う通勤客らにあいさつを続けた。
「河村票がどうなるかはわからないので考えない。一人でも多くの人に会うだけだ」と言い残し、足早に次の場所へ向かった。
熊田氏陣営関係者は、河村票を「非自民の浮動票」とみる。17年は熊田氏が1万6千票余りの差で吉田氏を振り切ったが、「すべて吉田氏に流れる可能性がある」と危機感を強める。
新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言が9月末で解除されると、さっそく1区の地方議員の後援会幹部らに集まってもらい、「これまでの選挙とは違う」と引き締めを図った。
河村氏を支持するのは高齢者…