第4回「分配」にこだわる岸田カラー、渋沢栄一に共感? 市場の警戒厳しく

有料会員記事岸田政権

笹井継夫、伊沢友之
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 岸田文雄は今年6月、議連の立ち上げを目前に控え、元首相、安倍晋三の事務所を訪れていた。

 議連の名称は「新たな資本主義を創る議員連盟」。自らの経済政策の看板を掲げた議連に、安倍の後押しを求めるためだった。昨年9月の自民党総裁選で、主要派閥の支持を早々に集めた当時の官房長官菅義偉に完敗した岸田。再起の足がかりとする議連には、党内最大派閥の清和政策研究会(細田派)に絶大な影響力を持つ安倍の後ろ盾が欠かせなかった。

 安倍に議連への参加を打診し、「格差をなくす資本主義のあり方を考えたい」と訴える岸田に、安倍は「成長も大事だ」などと念押ししつつも、議連の立ち上げに理解を示した。

 その3日後の6月11日、140人を超える国会議員が集まった議連の初会合。ひな壇には、議連の最高顧問を引き受けた安倍と麻生太郎(現党副総裁)、顧問となった甘利明(現幹事長)という「3A」と呼ばれる重鎮が顔をそろえた。

 「成長と分配の両方をしっかり考えることによって、多くの国民は幸せを実感することができるのではないか」。岸田は冒頭のあいさつで、成長重視の安倍への配慮もにじませた。「ポスト菅」をうかがう理想的な足場を固めた岸田は約3カ月後の9月29日、菅の総裁任期切れに伴う党総裁選で、この経済政策を最大の売りとして訴え、総裁の座を射止めた。

 安倍が推進し、菅も引き継いだアベノミクス。岸田はその3本柱である大規模な金融緩和財政出動成長戦略は引き継ぎつつも、自らのカラーを「分配」という二文字に込めた。アベノミクスには「恩恵が大企業や富裕層に偏り、成長の実感がない」という批判があった。岸田はアベノミクスについて「(経済成長の恩恵が中低所得層にも及ぶ)トリクルダウンは起きていない」と明言。その弱点を、子育て世代などへの経済的支援を手厚くする分配施策で埋めることで、中間層の所得を増やして消費を盛り上げ、次の成長にもつなげる。この「成長と分配の好循環」をめざす政策を「新しい資本主義」と銘打ち、看板に据えることにした。

 そこには、苦杯をなめた昨年…

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