斎藤佑樹「かっこ悪くても、前を向いた」 引退登板、栗山監督と涙

畑中謙一郎
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 今季限りで引退する日本ハム斎藤佑樹投手(33)が17日、札幌ドームで行われたオリックス戦で現役生活に終止符を打った。スタンドには約1万4千人が詰めかけ、11年間の労をねぎらった。

 抑えていた感情が一気に噴き出した。七回に2番手として登板。打者一人に四球を与え、ベンチで栗山英樹監督と言葉を交わした瞬間、涙が止まらなかった。

 試合後の引退セレモニーでは、梨田昌孝・元監督や東京・早稲田実高の先輩である王貞治氏らのビデオメッセージも流された。

 斎藤投手は「ファンの方に喜ばれたいと思って、必死に腕を振り続けてきた。どんなにかっこ悪くても、前だけを向いてきたつもりです。ほとんど思い通りにはいきませんでしたが、やり続けたことに後悔はない」とあいさつ。最後は仲間から胴上げされて、グラウンドを一周した。

 試合前に行われた引退会見では、今後の身の振り方についても言及。「今、自分ができることと、できないこと、やらなくちゃいけないことをしっかり考えて、まずはそれをしてから、前に進みたい」と話した。

 11年を過ごした球団への思いも語った。「ファイターズには、いい人ばかりだった。幸せな気持ちでいられるのも、その皆さんのおかげ。ファイターズでプレーできて本当に良かったです」

 チームの若手へのメッセージを求められると「本当に誇らしい選手ばかり。僕からかける言葉はないです。ただ、一ファイターズファンとして応援しているよ、ということですね」と笑顔でエールを送った。(畑中謙一郎)

 栗山監督(日) 降板した斎藤に言葉をかけ、自身も涙。「(斎藤)佑樹に対しては言葉に言い表せない思いがある。これからが佑樹の本当の勝負だ」

 会見での主なやりとりは次の通り。

 ――今の心境は。

 「11年間は長いようで短く感じた。今日が最後なんだなあと、信じられない気持ち。この日を準備してくれた方々に感謝しています」

 ――ユニホームを脱ぐ決断をした時期、きっかけ、理由は。

 「去年、右ひじを痛めて、そこから2021年のシーズンでチャンスを頂けて、結果が出なければ、と自分の中では決めていた」

 ――引退を誰かに相談したか。

 「基本的には、していないです。自分1人で決めた。迷いがないと言えばうそになるが、最後はしっかりと決断できた」

 ――ご家族にはどう伝えたか。

 「今年でやめます、とシンプルに伝えました。(両親からは)よく頑張ったな、ということと、ここまで面倒を見てくれたファイターズに感謝だね、という言葉をもらった」

 ――引退表明の後は仲間からいろいろメッセージが届いた。

 「同世代の活躍は刺激になった。僕が頑張る原動力になった。今、現役でやっている選手たちは、これからももっともっと頑張ってほしい。いろいろとコメントをくれたのはとてもうれしかったです」

 ――ファイターズの仲間と過ごした時間はどんな時間だったか。

 「選手、監督、コーチ、スタッフの方々を含め、ファイターズには、いい人ばかりだった。幸せな気持ちでいられるのも、その皆さんのおかげ。他の球団にいたことがないので、わからないが、ファイターズでプレーできて本当に良かったと感じています」

 ――うれしかった、苦しかったシーンを教えてください。

 「たくさんあるが、やっぱり2012年の開幕投手を栗山監督から指名してもらい、そこで完投勝利できた。うれしい経験だった。苦しかったことで言えば、基本的に苦しかった。たくさんの人に迷惑をかけたが、それもいい経験になった」

 ――同じタイミングで栗山監督が退任する。

 「栗山監督にはたくさん迷惑をかけたし、たくさん面倒も見てくれた。叱られたことも、ほめられたこともある。プロ野球生活でたくさんのことを教えてもらった。感謝しても感謝しきれない。言葉がまとまらないが、それほど尊敬できる方。会うたびにかけられる言葉、一言一言に重みがあったし、前に進むために必要な言葉だった。それを言える栗山監督は、会うたびにすごいなと感じていた」

 ――自分自身に声をかけるとすれば。

 「休んでいる暇はないぞ。この先にも、ファイターズ、野球界にちゃんと恩返しをするために次を向きなさい、ということです」

 ――幼いころから続けてきた野球。斎藤にとって野球とは何だったか。

 「野球を通していろんな方々との出会いがあり、野球がなければ多くのことも経験できなかった。野球を通して、素晴らしい方々に巡り合えた」

 ――今後について考えていることは。

 「今、自分ができることと、できないこと、やらなくちゃいけないことをしっかり考えて、まずはそれをしてから、前に進みたい」

 ――一番成長できたことは。

 「つらいこと苦しいことばかりだったが、その中でも前を向き続けなければいけないこと。どんな状況になってもあきらめずにやり続けることが大事なんだと。大好きな野球があったからこそ頑張れた」

 ――後輩たちへの思い。

 「本当に誇らしい選手ばかり。僕からかける言葉はない。ただ、一ファイターズファンとして応援しているよ、ということです」

 ――応援してくれた人たちへのメッセージを。

 「ファイターズに来てからの11年間、もっと言えば、高校3年の夏の甲子園から、斎藤佑樹という野球選手を見守って頂き、ありがとうございました」