学校帰りに倒れた私、助けてくれた配達員へ ポストに貼り続けた感謝

佐々木健
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 今年で28回目を迎えた日本新聞協会による「新聞配達に関するエッセーコンテスト」で、千葉県習志野市に住む高校3年生の焼山美羽(やきやまみう)さん(17)が全国から寄せられた作品の中から中学生・高校生部門で最優秀賞に選ばれた。

 コンテストは新聞配達や販売所に関するエピソードなどを400字程度のエッセーにまとめたものを協会が全国から募集。「大学生・社会人」「中学生・高校生」「小学生」の3部門に分けて実施し、今回は計3879編が寄せられた。

 焼山さんは現在、習志野から東京都中央区の開智日本橋学園高校に通っている。最高の最優秀賞となった「思い出を胸に抱いて」と題したエッセーは、同学園の中学1年生時の夏にあった出来事を描いたものだ。

 真夏の学校帰り、習志野市内の路上を1人で歩いていた焼山さんは意識が薄れ、倒れ込んだ。その時に声をかけたり救急車を呼んだりしてくれたのが、夕刊を配達中だった年配の新聞配達員の男性だった。熱中症の症状だったが、男性のおかげで大事には至らなかった。

 男性は名乗らなかったため、新聞社も分からず、お礼を伝えることができない。どう感謝の気持ちを伝えればいいのか――。華道部だった焼山さんは祖母が庭で育てた花々に感謝の気持ちを添えてポストに貼り続けた。秋になったころ、ようやく男性にたどり着いたものの、そこには思わぬ結果が待っていた。

 もともと文章を書くのが好きで、学校の国語の先生からコンテストの存在を聞いた。先生からは「文章を書く前に、名作を読んでみると書きやすくなる」とのアドバイスも受けた。受賞作は「自分の体験したことをそのまま分かりやすく文章にした」という。

 将来は「ジェンダーなど世界的な課題・問題について、自分の言葉で提案、解決できるような文章を書きたい」と話す。(佐々木健)

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「思い出を胸に抱いて」

 フリージア、かすみ草、スイートピー……。我が家に漂う新聞のインクと花の香りには、ある中学時代の出来事が隠されている。

 それは意識をなくして倒れた下校途中のこと。優しい新聞配達員の方に私は助けられた。当日、名前を聞かずに別れた配達員さん。お礼をどう伝えるか家族と悩んだ末に、「ありがとうの気持ちやね」が口癖の祖母の案を実行した。感謝の旨を記したメモに庭で育てた花を添えてポストの所に貼るというものである。新聞で花言葉の広告があるのを見つけてからはそれを参考に花を選んで、何十日も直接会うことを願い、待ち続けた。そのかいあって、ついに会える機会が設けられた矢先にご病気で亡くなったと知らせが届いたのだった。そうして、読み終わった新聞のそばに花を飾るようになった。命を救ってくれた恩人に深い感謝と追悼の意を込めて。

 私はこの思い出を胸に抱いて生きている。配達員さんの親切を忘れないと誓いながら。