比例九州20議席めぐり火花 公明は自民に協力票の「見積もり」要求

2021衆院選

藤山圭、松沢拓樹、神野勇人
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 19日公示の衆院選では、比例九州ブロック(定数20)をめぐる戦いも熱を帯びる。4議席獲得をめざす公明党はコロナ禍で運動が制限されるなか、選挙区で支援する自民陣営に協力を迫る。前回1議席の共産党日本維新の会は、政権批判票の受け皿となり党勢拡大を図りたい考えだ。

 「九州全体で100万票、沖縄で13万票」。公明は4議席に届くと見込む目標を設定。前回は九州全体で約91万2千、沖縄で約10万8千票を集めたが、ドント式による配分の結果、3議席にとどまった。

 「悲願」と位置づける4議席まで約9万票足りない計算だが、支持母体・創価学会の関係者は「前回もめいっぱい集めた数。新型コロナウイルスの影響で大規模な集会ができずハードルは高い」と漏らす。

 さらに前回、比例九州で当選した遠山清彦氏が今年2月、緊急事態宣言下に銀座のクラブを訪れたことが発覚して辞職。その後も地検の捜査を受け、政府のコロナ対策への批判も相まって逆風下で衆院選を迎えることになる。

 高い目標達成に向け、公明がテコ入れするのが、選挙協力する自民の支持層からの票だ。

 衆院選で公明は自民の選挙区候補を支援する見返りに、自民支持層からの比例票を求めてきたが、選挙区での協力に比べて十分な票に結びつかず不満をくすぶらせてきた。

 公明は今回、推薦を求める自民候補の陣営に比例票の「見積もり」を求めてきた。選挙区ごとに公明に回す比例票数の見通しを提案させ、選挙区での協力度合いを判断する。公明九州方面本部幹事長の浜崎達也・福岡県議は「自民公認というだけで、推薦を出すことはしない。ギブ・アンド・テイクで、『見積もり』をしっかりと精査して、協力するかどうかを判断する」と話す。

 公明は自民候補に推薦を出さない選挙区では自主投票とし、野党や無所属陣営も含め、公明に比例票を入れる層へ協力を呼びかける構えだ。公明関係者は「重要なのは目に見える協力をできる人は誰かということ。比例票獲得に協力してくれる人を見極める」と語る。

 一方、立憲民主党は与党に代わる選択肢を示すことで比例票の掘り起こしを狙う。野党共闘のため、多くの選挙区で候補者を取り下げた共産は比例九州で2議席をめざすが、比例票の積み増しに課題を抱える。

 前回、野党候補の一本化のために選挙区での擁立を次々と見送った。その結果、14年の衆院選で約53万票だった九州比例の獲得票は約42万票に。選挙前の2議席から1議席に減った。

 今回はさらに野党一本化のための候補者取り下げを強めており、再び2議席を得るには従来の支持層だけでなく、無党派や選挙区で野党系候補に投票する政権批判層を取り込む必要がある。内田裕・共産党福岡県委員長は「引くところは引いた。野党共闘に誠実に尽くした共産を比例で伸ばしてほしい」と呼びかける。

 前回、比例九州で1議席だった維新は、立憲民主などの野党勢力に不満を持つ政権批判票を取り込み、2議席への積み増しを狙う。

 前回は九州の選挙区から比例重複で前職2人を含む4人が立候補し、計約27万7千票を得て20議席目に滑り込んだ。今回は選挙区から6人を擁立。コロナ下での発信が目立った吉村洋文大阪府知事(維新副代表)を前面に打ち出し、支持の掘り起こしを図る。

 選挙区で敗れた候補が比例復活するには、選挙区の当選者との差を表す惜敗率がカギを握る。別々の選挙区に立つ同僚候補が惜敗率を競う「見えない戦い」となる。4選挙区に候補が立つ福岡県の党関係者は「候補者全員の惜敗率が3割程度と『低空飛行』な争いになるだろう」と見込む。

 自民では、比例名簿の順位に注目が集まる。前回、九州比例で得た7議席のうち名簿上位の比例単独候補3人を除き4人が比例復活したが、惜敗率が低かった4位の2人が復活を逃した。

 前回に続き比例単独での公認が決まった今村雅弘氏は、比例での「73歳定年制」や「単独立候補は原則2回まで」とする党の内規の例外が認められた。鹿児島1区公認を宮路拓馬氏に譲った保岡宏武氏も比例単独で公認された。

 今村氏、保岡氏がそれぞれ所属する佐賀、鹿児島両県連はいずれも比例名簿の上位掲載を求めるが、比例単独の上位掲載者が増えるほど、選挙区で落選した候補者の比例復活の「イス」が減るだけに希望通りとなるかは不透明だ。(藤山圭、松沢拓樹、神野勇人)

●2017年衆院選比例九州ブロックの政党別得票数と議席数(丸数字、ドント式で配分)

自民 218万1754 ⑦

希望 116万8708 ④

立憲 105万4589 ③

公明 102万1227 ③

共産  42万1962 ①

社民  27万7704 ①

維新  27万7203 ①

幸福   5万0293 (0)

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