ドローン往復24キロ飛行 猪名川町で実証実験 県

中野晃
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 高齢化や過疎化が進む山間部での生活水準の維持に役立てようと、兵庫県が自治体や研究機関、企業と協力してドローンによる輸送実証実験を進めている。今月1日には猪名川町猪名川沿いで往復で計24キロの飛行を試み、無事終了した。年内にもさらに飛行距離を伸ばした実験に挑む。

 猪名川に沿って南北に広がる猪名川町。約3万人の人口の大半は南部のニュータウンに集まり、北部はスーパーや薬局がない。

 今回の実証実験は、地震で町の南北を結ぶ基幹道路がまひし、南部にある町役場から北部の診療所に輸血用血液を緊急輸送するという想定で実施された。

 離陸を前に、岡本信司町長は「将来、緊急時の薬剤輸送などに役立つと期待している」とあいさつした。約0・5リットルの水入りの輸血用バッグを積んだ機体(長さ約1・2メートル、幅約2・1メートル)は午後1時に飛び立つ予定だったが、強風で2時間以上待つことに。飛行ができるかどうか、気候条件に左右されるという課題が浮かんだ。

 午後3時半。「ウーン」とうなりをあげて上空にあがった機体は人家などを避けるため、猪名川の蛇行する流れに沿って何度も旋回しながら飛んだ。出発地点のモニターにうつるドローンからの映像では山の稜線(りょうせん)が右に左にと傾く。

 途中で映像が途絶えるトラブルもあったが、約16分で目的地の診療所に着陸した。復路は追い風で役場まで約10分で戻り、無事飛行を終えた。

 実験に参加した大阪市立大工学研究院の吉田大介・准教授は「日常の宅配などで活用するには機体を大雨や強風にも対応できるようにし、積載能力を伸ばす必要がある」と指摘した。

 県は地域創生戦略「多自然地域一日生活圏維持プロジェクト」の一環として昨年度からドローンの実証実験に取り組む。今年3月には猪名川宍粟市の引原川の上空でそれぞれ数キロの輸送実験を実施した。

 今回は距離を大幅に伸ばして試みた。課題を検証し、11月にも猪名川町でさらに長い距離や高低差のある地点間の輸送飛行に挑む計画だ。山間部での災害発生を想定し、被害状況の迅速な把握や住民への避難の呼びかけでドローンを活用できるかどうかを調べる実証実験も検討している。

 県地域創生局の高橋健二・企画官は「人口減に伴う地域の課題を、テクノロジー(科学技術)で解決できるよう取り組んでいきたい」と話す。(中野晃)