法の網くぐる盛り土、自治体の条例にばらつき 「統一基準」求める声

山本孝興
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 静岡県熱海市で今年7月に発生した土石流災害では、起点付近にあった盛り土が被害を甚大化させたとみられている。

 ただ、盛り土を統一的に規制する法律はなく、土地の利用方法や目的ごとに個別の法律で対応せざるを得ない。大規模な宅地造成であれば宅地造成等規制法で工法などが決められ、土砂災害への対策も必要だが、熱海市の盛り土はこうした適用基準には当てはまらず、法の規制を逃れていた。こうした法の網をくぐる盛り土は全国で問題化している。

 自治体は盛り土による土地改変など、埋め立て自体を規制する条例を独自に制定して取り締まるが、国土交通省によると、制定しているのは昨年4月時点で21府県にとどまり、規制内容にばらつきがある。

 三重県は昨年、県内への建設残土の大量搬入発覚を受け、新たに県土砂条例を施行した。条例のある関西や関東を通過して三重県に建設残土が運ばれていたといい、県の担当者は「狙い撃ちにされていた」。県は埋め立て面積が3千平方メートル以上で知事の許可制とし、事業者による住民説明会を義務化した。担当者は「許可制としたことで知事の権限が強まった。幅広く事業者の埋め立て行為に対処できる」と話す。

 静岡県の「県土採取等規制条例」は、事業者による土の採取と埋め立て行為を制限しているが、隣の神奈川県許可制なのに対し、届け出制だ。措置命令などに違反しても、罰則は最大で罰金20万円。神奈川県は最も重いもので懲役2年以下、罰金も100万円だ。県は条例を厳格化する方針だが、自治体が条例の縛りを強めていかざるを得ない状況について、国の担当者は「いたちごっこだ。統一的な法整備などの対策は必要だろう」とみる。

 全国知事会は熱海市の土石流災害を受け、国に緊急要望を出し、「(残土についての)法制化による全国統一の基準・規制」「危険がある盛り土の撤去や補強」などを早急に整備するよう求めた。

 内閣府は9月、有識者による検討会を設置。危険な盛り土などについて年内に対策をまとめる。都道府県は全国で3万~4万カ所ある盛り土の総点検を進めている。政府はこの結果を取りまとめ、法整備などを検討するという。(山本孝興)