「非合理な二刀流」を乗り越えた肉体改造 大谷翔平、今季飛躍のわけ

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聞き手・笠井正基
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メジャー4年目の今季、9勝を挙げたエンゼルスの大谷翔平選手=2021年9月26日、米アナハイムのエンゼルスタジアム、加藤諒撮影
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 大リーグで打者として本塁打46本、投手として9勝と好成績を残し、シーズン最優秀選手(MVP)の最有力候補に挙がっているエンゼルスの大谷翔平選手。今季躍進した理由は、どこにあったのか。大リーグでも一躍脚光を浴びた投打の「二刀流」が生まれにくい背景は何なのか。大谷の日本ハム時代から、投打について独自に動作解析してきた筑波大学野球部監督の川村卓准教授(コーチング学)に聞きました。

思い出させた野球の原点

 ――スポーツ科学の専門家として、渡米当初は疑問視されることもあった二刀流をどう評価しますか。

 「投打の二刀流はスポーツ科学の観点から合理的ではありません。スポーツに限らず、専門領域を究めることが一般的だからです。大谷選手はそんな流れに逆行し、合理性をより求める大リーグで二刀流を認めさせた。打って、走って、投げる。それらを全部やる野球の原点を思いださせてくれました」

 ――高校生ぐらいまでエースで4番だったとしても、その後はどちらかに専念するケースが多いのが現状です。

 「野球は勝つ確率をより高めるため、専門化が進んできました。ポジションを固定した方が選手の覚えが早いし、強化しやすい。スポーツですから勝つことは大事なのですが、日本では小学生のうちから先鋭化し、行きすぎた勝利至上主義につながった側面がありました」

 ――なぜでしょうか。

 「背景の一つに野球の統括組織が小中高や社会人、プロと異なることが挙げられます。それぞれの年代で優勝することが目標になり、先を見すえて育てる視点が欠けていたのです。そんな反省から、私は育成年代の子どもたちに野球だけでなく、いろいろなスポーツをやるべきだと働きかけています。後に一つのスポーツを専門にする時、様々な運動経験が生きてくるからです」

驚異的な進化の背景を分析

記事後半では、大谷選手の投打のフォームが、今シーズンどう変わったのかについて、動作解析の視点から分析しています。

 ――他に、二刀流を続けにくい要因はありますか。

 「教え子にも投打に可能性を…

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