コロナ専用病院、受け入れ患者まだ3人 第5波で遅れた東京の増床

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阿部彰芳、下司佳代子、編集委員・辻外記子
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 東京都内では7月末から8月初め、新型コロナウイルスの感染者は前週の2倍を超すペースで増え、病床は逼迫(ひっぱく)した。入院できる病床をいかに早く稼働できるか。5度目の波を経験してなお、大きな課題を残した。(阿部彰芳、下司佳代子、編集委員・辻外記子

 東京都江東区の下町にある東京城東病院。内科、外科、整形外科を掲げ、高齢の患者を中心に地域医療を担ってきたが、8月下旬、コロナ専用病院にする準備を始めた。この直前、同病院を含む57病院を運営する独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)に対し、政府が都内でコロナ病床を増やすよう強く要請したためだ。

 重症者を診る集中治療室(ICU)はなく、感染症の専門医もいない。コロナ診療にあたる医師9人(呼吸器内科1人、外科4人、整形外科4人)や看護師は、重い肺炎で必要となる呼吸管理に慣れていなかった。このため、ほかの病院で研修を受け、これに加え、複数の大学病院などから交代で経験豊富な医師を派遣してもらうことになった。

 ベッド数は117床だが、スタッフの確保や感染対策を考えると、コロナ用に使えるのは50床が限界だった。準備には1カ月かかり、9月30日に軽症、中等症のコロナの患者を診る専用病院に「衣替え」した。中馬敦病院長は「8月下旬時点で入院していた90人近い患者さんを退院もしくは転院してもらうことに一番時間がかかった」と話す。

入院減り始めてから増床

 ただ、都内の医療体制が最も深刻だったのは、8月半ばだ。8月12日の都のモニタリング会議の資料によると、保健所は都の入院調整本部に対し、「コロナ患者の入院先を決めてほしい」と1日608件も依頼した。だが、570人の入院先はすぐに決まらず、翌日に繰り越しとなった。とくに重症者の入院調整が難しくなっていた。

 コロナ患者をすぐに受けられる病床や、酸素吸入が受けられる酸素ステーションで働くスタッフの確保は8月上旬から喫緊の問題だった。都と国は8月23日、感染症法にもとづいて都内の全医療機関などに協力を要請。半月ほどで病床は約6千床から1割ほど増えた。だが、流行の峠はすでに越え、入院患者は9月に入って激減していった。

 東京城東病院ではコロナ専用病院になった後、受け入れたコロナ患者は10月7日時点で3人にとどまる。中馬病院長は「おそらく今後、第6波が来ると思う。そのころには50床はいっぱいになるだろう。しっかり対応できるように準備したい。いい準備期間ができるのかなと考えている」と話す。

 一方、昨冬の「第3波」の反…

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