収蔵品は何を語る? 美術家たちの時をかける「対話」

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田中ゑれ奈
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 収蔵品はひとりの人間の一生よりも長く、美術館とともに在り続ける。現代美術家が時を超えてコレクションを再解釈する企画展が、京都と滋賀で開催中だ。いずれもリニューアル後の開館記念と位置づけ、作品を保存・継承する美術館の存在意義を示す。(田中ゑれ奈)

建物も展示ケースも、話し相手に

 1933年に「大礼記念京都美術館」として京都・岡崎に開館し、改修を経て昨年春に再開した京都市京セラ美術館。「コレクションとの対話:6つの部屋」展では過去と現代の「対話者」が、それぞれの時代と視点で作品に向き合う。展示前半では、かつて在籍した学芸職員や京都画壇ゆかりの画家の仕事を手がかりに、コレクション形成の歴史の一端をひもといている。

 後半は、現代作家4人が展示構成と新作を手がけた。建築家で同館館長の青木淳は、日本画の写生帳と下絵に着目。紙を貼り合わせて入念に構図を検討した竹内栖鳳(せいほう)の下絵制作のプロセスに、古い建物に新しい要素を付け加える美術館のリニューアル設計を重ねた。

 時の流れを取り込んだ作品を得意とする美術家・宮永愛子は、曽祖父の陶芸家・初代宮永東山の作品を起点に、幼少期から親しんできた美術館の空間をインスタレーション化した。東山が制作に携わった陶彫の石膏(せっこう)型が実家に大量に眠っているといい、宮永はそれらを使い、時間とともに形を変えるナフタリン彫刻を制作。過去と現在の彫刻が同居する空間には、同館で今年9月まで開催されていた上村松園展の痕跡が残るなど、いくつもの時を行き来する仕掛けが隠れている。

 繊維造形作家ひろいのぶこは…

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