井山裕太名人(32)=棋聖・本因坊・碁聖と合わせ四冠=に一力遼天元(24)が挑んでいる第46期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)。前局で快勝し、3勝2敗とした一力挑戦者が勢いにのってタイトル初獲得を決めるか、井山名人が意地を見せるか。静岡県熱海市の旅館「あたみ石亭」を舞台にした第6局2日目の様子を、タイムラインでお伝えします。
井山名人「最終局ベスト尽くす」
終局後の井山名人の一問一答は次の通り。
――今回の1局をふりかえって。
「1日目からわからないことだらけだった。上辺の白42のハネから仕掛けられる手はあまり考えていなかった。ここのコウの解消には白も時間がかかると思っていたので、それなりに打てるかなと思っていた」
「2日目に入ってからの白の仕掛けはよく読めていなかったので、決着するまでよくわからなかった」
――控室では黒103のノビに挑戦者がどう応じても「一発コウ」になると見ていたが、名人も見きわめていたのか。
「1日目の午前中から昼食休憩中も含めて自分なりに考えて、自分の取り番のコウになるかなと」
――その後、右上の戦いが収束した段階で感触は?
「正しく打てているとは思わないが、実戦の進行なら少し優勢かなと」
「その後は自分の石が絡まれる展開になり、嫌な流れだったが、実戦のように左辺の黒を取りに来られてもシノギはありそうだと思っていた。よほどのことがなければ地合いで勝てるかなと」
――カド番をしのいで3勝3敗の最終局にもちこんだ。
「ひとまず最終局までいけてよかった。最後ですので、悔いのないようベストを尽くしたい」
一力挑戦者「2日目いい場面なかった」
終局後の一力挑戦者の一問一答は次の通り。
――本回をふりかえりって。
「黒67(42)とコウをツがれて、はっきり苦しい形勢にしてしまった」
――コウを譲って左辺の黒を攻めた。右辺の第2のコウ争いのコウ材づくりだったのか
「そうですね。コウが解消されたあたりから、白88と割り込んで白90とアテこむ図をずっと考えていたが、うまくいかなかった」
――名人の黒103のノビが強手だった。この後最強に打てば名人の取り番の一発コウになると読んでいたのか。
「そうですね。ノビもある程度想定していたが、打たれてみると厳しい」
「直接的にいくのは無理だと思って変化したが、地合いが常に大変で。2日目はあまりいい場面がなかった」
――3勝3敗、最終局の抱負を。
「(昨年の天元戦、今年の碁聖戦と)ここ最近、ずっとフルセットの番勝負が続いている。精いっぱい自分の力を出し切って頑張りたい」
18:07
挑戦者が投了
井山名人の159手目を見て考えていた一力挑戦者が午後6時7分に投了した。井山名人が黒番中押し勝ちを収めた。
対戦成績は両者3勝3敗とな…