第2回村上春樹さんと村治佳織さん、朗読とギター 話題のあの映画の感想も

野波健祐
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 作家の村上春樹さんが自作を朗読し、ギタリストの村治佳織さんが生伴奏するイベントが16日、早稲田大学国際文学館(通称・村上春樹ライブラリー)で開かれた。ライブラリーの開館記念企画「Authors Alive!~作家に会おう~」の第2回。コロナ禍を考慮して観覧者数を絞り、早稲田大生らごく少数の参加者が見守った。

 二人の共演は今年2月、村上さんのFM番組の関連イベント「村上JAM」以来。村治さんは「言葉が主役で音は舞台装置。背景をどう作っていくのか考えながら最弱音でギターの弦をつまびきます」と語り、村上さんの朗読が始まった。

 まずは佐々木マキさんとの絵本『ふしぎな図書館』から。初期の村上作品ではおなじみの「羊男」が図書館に閉じ込められた「ぼく」のもとにドーナッツとレモネードを持ってくる場面を読み始めた。そこから始まる脱出劇に興が乗ったのか、予定よりも長く読み進め、村治さんの演奏は途中から即興に。村上さんはその対応に感心し、「楽器とのコラボは気持ちいい」と話した。

 続いては村治さんのソロ演奏。村上さんと初めて会った場で弾いたという「戦場のメリークリスマス」など3曲を弾き、次の朗読へ。

 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の粗筋を紹介しようとした際に、こんな会話が交わされた。

 村上「書いたのはずいぶん前で、ほとんど筋を覚えてなくて。こないだ(自身の作品が原作になった)映画『ドライブ・マイ・カー』を見に行ったんですけど、どこが僕が書いたもので、どこが映画で付け加えられたのか境目がわからなくて」

 村治「作曲家にも似たような話があって、喫茶店で流れていて『ああ、いい曲だな』と思ったら自分の曲だったと……」

 村上「僕もラジオで朗読を聞いていて、なかなか面白いと思ったら自分のだった。自分の書いたものって読み返さないんですよ。本になる前に何度も何度も読んでいるから、読み返したくなくなっちゃう」

 朗読にあわせて村治さんが奏でたのは、小説の題名にも使われているリストの「巡礼の年」。主人公たちが亡き友人の思い出とともに曲について語る場面が読まれ、内容と言葉と音が混じり合う濃密な時間が過ぎていった。

 最後は村上さんからの「バッハとかどう」のリクエストに応じて村治さんが賛美歌「主よ、人の望みの喜びよ」を披露し、終幕となった。

 「Authors Alive!~作家に会おう~」は全6回の予定。詳細はウェブサイト(https://www.waseda.jp/culture/wihl/別ウインドウで開きます)で。(野波健祐)