第22回首相補佐官と「野党共闘」候補が対決 カギは共産支持層か 埼玉1区

2021衆院選自民立憲共産維新

川野由起、贄川俊
[PR]

 「首相補佐官を拝命した。勝ち抜かなければ、格好がつかない」

 衆院埼玉1区からの立候補の届け出を済ませた自民前職の村井英樹氏(41)は19日午前10時ごろ、JR浦和駅西口で第一声を行い、約300人の聴衆を前に声を張り上げた。

 埼玉県内の衆院選挙区に立候補した自民前職で唯一、岸田文雄首相が率いる岸田派に所属する。9月の総裁選では岸田氏のために奔走。岸田政権が誕生すると、首相を支える政権の重要なポスト、首相補佐官自民党史上最年少で就いた。国内経済などを担い、首相側近の一人として中央官僚ともやりとりをする。就任直後は、自身のチラシの号外を街頭で配り、首相との近さもアピールした。

 選挙で意識する相手は立憲元職の武正公一氏(60)で、今回で4回目。2012年の初当選から3回連続で議席を得て、前回は武正氏に比例復活も許さなかった。しかし、村井氏陣営は今回、いっそう気を引き締める。共産が候補者を立てずに実質的な「野党共闘」ができたからだ。村井氏陣営の幹部は「10月になれば完全に追い越せると思ったが開けてびっくり、まだ(武正氏と)横並びだ」といい、党内でささやかれている選挙区情勢の厳しさに直面している。

 首相補佐官は閣僚ポストに比べれば、露出度がそう高くなく、裏方のイメージが強い。ただ、政府の会議への出席や危機管理対応など、重責を担う。東京・永田町を離れるのが困難で、首相との急な打ち合わせで地元の行事に遅れることもあった。それでも、村井氏は「支援者からは『期待しているぞ』という声をいただく。補佐官の仕事も選挙も頑張るということしかない」。

 一方、武正氏も19日、同じ駅西口に立ち、約50人を前に「与党対野党の衆院選だ。大きな野党のかたまりをつくるために、選挙協力を進めてきた」と訴えた。

 前回は「民進分裂」で希望の党から7回目の衆院選に挑んだが、落選。その後、立憲に入った。今回、「野党共闘」を進める市民団体との協定を県内の立憲候補のなかで一番早く結び、公示前から共産、れいわ社民を加えた4党で街頭に立ち、「統一候補」であることを強調した。

 両陣営とも、かぎを握るのは共産支持層の行方とみる。武正氏陣営が目標とする得票数は11万票。前回、自身が得た票(7万5716票)と、共産候補が得た票(3万3593票)を足した数とほぼ同じで、村井氏が前回得た10万6699票を上回る数でもある。

 その「共闘」する共産からは選挙戦初日から、後押しのひと声がかかった。

 比例候補の応援に入った田村智子政策委員長が浦和駅西口で「小選挙区では野党統一候補を押し上げてもらいたい」と武正氏への投票を暗に呼びかけた。選挙活動をともに展開するものではないが、武正氏陣営は「(共産の支援は)あうんの呼吸だ。保守票が多少逃げるのは仕方がない。共産支持層の票をどれだけ上乗せできるかで決まる」。

 村井陣営は、共産との協力で立憲から離れる保守票を取り込んでいく狙いだ。

 1区には、維新新顔の吉村豪介氏(40)、いずれも無所属新顔の中島徳二氏(62)と佐藤真実氏(37)が立候補した。

埼玉1区の候補者

吉村 豪介 40 維新 参院議員秘書

中島 徳二 62 無新 元家具会社員

武正 公一 60 立元⑥ 元財務副大臣

佐藤 真実 37 無新 デザイナー

村井 英樹 41 自前③〈公〉 首相補佐官

(届け出順。丸囲み数字は当選回数。ヤマカッコ囲み政党は推薦。年齢は投開票日現在)(川野由起、贄川俊

2021衆院選

2021衆院選

ニュースや連載、候補者の政策への考え方など選挙情報を多角的にお伝えします。[記事一覧へ]

連載ルポ 注目選挙区(全40回)

この連載の一覧を見る