第5回ネットにつくった「目安箱」 台湾政府に意見、賛同が5千超えると…

有料会員記事

桃園=石田耕一郎
写真・図版
環境保護のため、石灰礁の保護を求める住民投票の署名集めに加わった黄婷婷さん(右)と長女=2021年9月、台湾北部の桃園市、石田耕一郎撮影
[PR]

台湾からのヒント オードリー・タンを育んだ社会⑤

 台湾では選挙以外にも、行政に民意を反映させるさまざまな仕組みがある。人々は、政策や法令に「NO」を突きつけて強制的に止めたり、現代版の「目安箱」を通じて暮らしに関わる制度を変えさせたりしてきた。こうしたシステムはどんな経緯で実現し、社会をどう変えたのか。

オードリー・タンの言葉

私は初めて投票した地方選挙で、支持した候補者が1票差で当選したのを見て、投票には意味があるのだと感じました。(投票で)意思表明することが自分の生活に影響するとわかったためです。だから、もし政治家を選ぶ選挙だけでなく、予算や行政の優先政策を決める投票も行えたなら、とても素晴らしいと思います。代議制民主主義を否定するわけではなく、投票できる機会を増やすのです(台湾に住む日本人ジャーナリストの取材に)

 台北の空の玄関口・桃園空港から車で約30分の海岸には、沖合数百メートルにかけ、豊かな生態系を育む石灰藻が広がる。餌を探す海鳥を見ながら水際を歩くと、カニなどが慌ただしく身を隠す。この水辺の環境保護を訴える民意がいま、法的拘束力のある住民投票を手段として、リベラル系の民進党・蔡英文政権にエネルギー政策の見直しを迫っている。

 白砂の海岸で陸地側に目をやると、20機近い風力発電の風車とともに、稼働中の天然ガス発電所が見える。原発廃止をめざす蔡政権は、この発電所を拡大させるため、浜に近い部分を埋め立てて燃料タンカーが接岸できる桟橋を作る計画を進める。

10歳の息子は言った 「海は守りたいけれど、もう頑張れない」

 地元の桃園市で幼い長男(1…

この記事は有料会員記事です。残り3629文字有料会員になると続きをお読みいただけます。