最近、テレビやインターネットで転職業界のCMや広告をよく見るようになった。まわりでも若い人の転職が増えた気がするが、実際はどうなのだろう。海外では賃金などの条件がいい会社へと転職を繰り返し、キャリアアップをしていくのが当たり前だとも聞くけれど、日本もそんな社会になってきたのだろうか。
ポッドキャストでも東京経済部の橋本拓樹記者が解説します。
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まず、総務省の労働力調査を見てみると、たしかにコロナ禍前の2019年の転職者数は過去最多の351万人だった。働く人全体に占める割合を示す転職率も、ちょうど記者(29)と同年代の25~34歳は7・8%と過去最高水準で、13人に1人が転職していた。
ただ、過去にさかのぼってみると、むしろ、どの年代も転職率は00年代半ばごろがピーク。とくに若年層の15~24歳では、05~06年に14%超と、足元を超える転職率だ。いったい、何が起きていたのか。
当時の労働経済白書などをもとに理由を探ると、企業の倒産が相次いだ00年前後の就職氷河期に、希望する待遇や職種の企業に入れなかった人たちが、景気の回復にあわせて転職するケースが多かったようだ。
記事後半では転職を取り巻く環境を国際比較します。ちょっと日本の転職だけ他国とは事情が異なっているようで……
じつは統計上、転職者数には、景気によって雇い止めなどにあいやすい非正規の働き手も含まれている。19年の転職者も半数以上の192万人が非正規で、同様な傾向は少なくとも00年代初めから続いていた。
00年代半ばに増えてきた転…
【視点】人口構造の推移を見ると、長期的な人手不足の傾向は間違いなく続くだろう。2025年問題は後期高齢者の急増問題であるが、2040年問題は生産年齢人口の急減だ。 国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2000年から2025年の25年間
【視点】勤務先企業を替えることを「転社」と呼ばずに「転職」と呼んでいる時点で、すでにアウトではないか。企業を横断した職種別労働市場が存在しないことを、暗黙の前提と考えていることを露呈しているからだ。 職種ごとの人材評価基準や、職種ごとの労働市